時の国・リースプル 虹の月…-。
まぶしい日差しが照りつけ、影をさしかける木々の下では人々が息を吐いている…-。
ゼロ王子を目覚めさせたお礼に……と私は時の国リースプルに招かれていた。
(確かお城はこっちだよね)
地図を手に、きょろきょろと辺りを見回していると、
??「持つ」
突然後ろからしなやかな腕が伸び、私が手にしていた荷物を奪う。
〇〇「……!?」
ゼロ「よく来てくれた」
驚いて後ろを振り返ると、にっこりと笑っているゼロさんの姿があった。
〇〇「ゼロさん……!」
ゼロ「驚かせてしまったか? すまない。 迎えに来た。城まで案内する」
彼はこの日差しの下、きちんとスーツを着込んでいるのに、汗ひとつかいていない。
(暑くないのかな?)
驚いて彼の背中を見つめていると、ゼロさんはこちらを振り返り、まじまじと私を見つめた。
〇〇「……?」
戸惑いに瞬きを繰り返しても、ゼロさんは私を見つめ続けている。
ゼロ「……理解した」
〇〇「え?」
ゼロ「身長、服装、歩き方……。 君は、控えめな女性なのだな」
眼鏡の淵に手を当てて、彼はかすかに口の端をあげる。
満足そうな彼を、ただ見つめることしかできなかった…-。