第4話 一途な夜

ほのかなランプの明かりが、室内を優しく照らし出す…-。

〇〇「……本当に、ベッドをお借りしていいんですか?」

プリトヴェン「ああ。君はゆっくり休んで」

ベッドに入った私は、その横に背を預けるように腰を下ろしたプリトヴェンさんの言葉に……

〇〇「でも……」

プリトヴェン「大丈夫。遠征に出る時はもっとひどい場所で仮眠をとることもあるし」

私を安心させるように、彼は微笑みを浮かべる。

〇〇「ありがとうございます」

毛布を手に横になると、ふと部屋に置かれた大きな鏡台が目に入った。

被せられた白い布の端から覗く鏡には、テーブルに置かれたリンゴが映っている。

(リンゴに、鏡……まるで『白雪姫』みたい)

幼い頃に絵本で親しんだ物語を思い出し、懐かしく思っていると……

プリトヴェン「どうかした?」

不思議そうな瞳で見つめるプリトヴェンさんと目が合った。

〇〇「あ、いえ……似てるなって」

プリトヴェン「?」

〇〇「私が元にいた世界で有名だった童話に、リンゴと鏡が出てくるお話があるんです」

幼い頃に何度も読んだ物語の内容を、私は彼へと話し始めた…-。

……

〇〇「それで、悪い女王の有名な台詞が……。 『鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?』っていう台詞で」

プリトヴェン「……」

〇〇「……プリトヴェンさん?」

(何か変なこと、言っちゃったかな?)

私の顔を見つめたままの彼に、首を傾げていると…-。

プリトヴェン「俺が聞かれたら、迷わず君だって答えるだろうな」

〇〇「えっ」

(それって……)

静かにこぼれた言葉が、私の胸を甘くざわめかせた。

プリトヴェン「あっ。 ……お、俺、何言ってんだろ」

熱を帯びていく彼の瞳が、私にまでその熱を映していく。

(嬉しい、けど……)

〇〇「プリトヴェンさんは、私を評価しすぎです。 私より綺麗な人も、素敵な人も、たくさんいらっしゃいますし……」

(……プリトヴェンさんに、がっかりされたくないな)

そんな少しの不安が、思わず口からこぼれ出てしまった。

プリトヴェン「……確かに、俺が知っているのは君の中のほんの一部なのかもしれない」

静かさの中に、彼の優しい声音が響き渡る。

プリトヴェン「でも、さっきの言葉に嘘はないよ」

そう告げた途端、照れくさそうに彼は頬を毛布にうずめた。

プリトヴェン「俺の中では……君が誰よりもかわいいっていうのは、変わらない……だから」

意を決したように顔を上げると、真剣な瞳が私を捉える。

プリトヴェン「君が許してくれるなら、これからも君を一番に守らせてほしい」

その凛とした視線に、私は心を奪われていた。

(プリトヴェンさん……)

〇〇「はい……私も、ずっとプリトヴェンさんの傍にいたいです」

ランプの柔らかな光に照らし出されるおかげで、微かな不安は消え去っている。

不器用で一途な王子様に、私は何度でも恋をするのだった…-。

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