第1話 目覚めた場所で

爽やかな緑の香りをまとった風が、私の頬をそっと撫でる…-。

(あれ……?)

??「……気がついた?」

真下から聞こえた声に視線を落とすと……

〇〇「プリトヴェンさん!?」

頬を赤らめたプリトヴェンさんが、困ったように私を見上げていた。

〇〇「す、すみません……!」

彼を下敷きにしてしまっていることに気がついた私は、跳ね上がる心臓に足をもつれさせながら、急いで彼の上から離れる。

プリトヴェン「い、いや、大丈夫! 怪我はないみたいだね、よかったよ」

小さく息を吐いたプリトヴェンさんは、ぎこちなく言葉を紡ぎながら立ち上がる。

〇〇「プリトヴェンさんは大丈夫ですか?」

プリトヴェン「ああ、怪我はないよ。ただちょっと……」

彼は瞳を伏せると胸に手をあてた。

〇〇「重かったですよね、ごめんなさい」

プリトヴェン「ち……、違うんだ、その……ちょっとドキドキして」

〇〇「あ……」

プリトヴェン「……」

戻された視線がぶつかり、気恥ずかしさで私も頬が熱くなってしまう。

〇〇「あのっ……ここは、本当に絵本の中なんでしょうか?」

プリトヴェン「たぶんね。匂いも音も、現実の世界と変わりないように思えるけど……」

気恥ずかしさを誤魔化す様に話題を変えれば、プリトヴェンさんも周囲に目を配る。

虹の国を訪れていた私達は、ゴーシュくんにある頼まれごとをされていた。

(収穫祭を盛り上げるために絵本の結末を改変して、だなんて……)

プリトヴェン「子ども達を楽しませるって言ってたけど、ゴーシュ王子もすごいこと考えるよね」

〇〇「そうですね、本当に」

(絵本を完成させれば出られるって、ゴーシュくんは言ってたけど)

(……そもそも、ここはどんな絵本の中なんだろう?)

深い森を見渡して考えていると……

プリトヴェン「……俺から離れないで」

私をかばうように前に出た彼は、木々の向こうへと視線を向けた…-。

第2話>>


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