第1話 始まりは急降下

満天の星が、手が届きそうなくらいの近さにある…-。

〇〇「……っ!?」

気がつくと、私は夜空に放り出されていた。

星の煌めきが流れるように遠ざかり、眼下に街の灯りが迫ってくる。

(このままじゃ…-!)

衝撃を予感してぎゅっと目をつむると……

??「〇〇!」

どこからか力強い声が聞こえ、急降下していた体がふわりと静止する。

私の体は、誰かの腕に柔らかく抱きとめられていた。

恐る恐る目を開けると…-。

ドロワット「おい、大丈夫か?」

凛々しい光を宿した瞳が、私の顔を心配そうに覗き込んでいた。

〇〇「ドロワットさん……」

彼の温かい腕が、私を横抱きにしている。

安堵すると同時に、気恥ずかしさが込み上げてきて……

〇〇「あ、ありがとうございます……」

思わず身を縮こませたことに気づいてか、彼は私をいっそう強く胸に抱き寄せた。

ドロワット「このまま地上に降りる。しっかり掴まっとけよ?」

唇に笑みを浮かべ、ドロワットさんは箒をゆっくり降下させていく。

その腕に抱かれたまま、私は徐々に近づく街に目をこらしたのだった…-。

……

私達を乗せた箒が、ふわりと街に着地する。

淡い街灯に照らされた美しい街並みは、私がこれまで一度も見たことのない景色だった。

〇〇「ここは……?」

ドロワット「ゴーシュの魔法で作り出された、絵本の中の世界だ」

(絵本の中……)

彼の言葉に、私は虹の国・オズで起こったことを思い出す。

収穫祭にやって来る子ども達を楽しませたいというゴーシュくんの望みで、私はドロワットさんと一緒に、魔法の力で絵本の中に入れられたのだった。

ドロワット「ゴーシュは俺達に、もともとある絵本をベースにして新しい物語を作ってほしいらしい。 この絵本の世界で、二人の新しい物語を作るぞ」

ドロワットさんは口の端に笑みを浮かべ、私の肩に軽く手を置いた。

その手の力強さに、知らない世界に迷い込んだ心細さが薄れていく。

遠くまで続く石畳が、物語の幕開けを感じさせた…-。

第2話>>


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