第4話 星を思い浮かべて

森を抜けると、私達を歓迎するように潮風が肌を撫でた…―。

○○「もう反対側に着いたんですね」

オリオン「思っていた以上に小さい島だ」

海岸に沿って歩きながら、空を海が交わる水平線を眺める。

○○「空と海の境が溶けて、繋がっているみたい……」

オリオン「シエルマーリンは、海と空が混ざる場所と言われている。 海と空が一つか……俺は、星空の中を泳ぐことができるんだな」

ふと囁きのような声が聞こえ、私はオリオンさんへと視線を移した。

○○「星空?」

オリオン「夜になれば、この水面は星を映すだろう」

思いを馳せるように、オリオンさんは海を見つめ目を細める。

○○「空も海も……星が包むんですね」

見渡す限り光り輝く光景を思い浮かべて、ため息がこぼれ落ちる。

オリオン「広い海の真ん中で見上げる星空は、美しいぞ」

○○「オリオンさんは、星を眺めるのが好きなんですか?」

オリオン「ああ、好きだ。夜にそっと海上へ出て……うるさい海賊船がいなければ、なお最高だ」

うんざりしたように寄った眉に、私は笑い声を飲み込んだ。

○○「星は……静かに見るのが、私も好きです。 それにオリオンさんが星を好きって、今まで知らなかったので」

自然に弾む声を自覚しながら、私は…―。

○○「驚きました」

微笑みながらそう告げると、彼にじっと顔を覗き込まれた。

オリオン「美しいものが好きなんだ。星や……お前もな」

紡がれる言葉はいつもより優しさを帯びていて、私の胸をくすぐる。

オリオンさんは私から視線を外し、なだらかな海辺を眺めた。

オリオン「こんな話……誰かに話すのは初めてだ」

わずかに目を瞬かせると、彼は少し困ったような笑みを浮かべた。

オリオン「……ここへ来てから俺も緩んでいるのか」

囁くような声が、風に運ばれ海を渡っていく。

少し表情を引きしめ、彼は私へと向き直る。

オリオン「それで?お前はそんな俺をどう思うんだ?」

○○「え……?」

彼の口元がニヤリと歪んだと思ったら、長い指が私の顎を捕らえ、持ち上げた。

○○「っ……!」

オリオン「……聞かせてくれ」

逸らすこともできないくらい、オリオンさんの瞳が私をまっすぐに見据える。

この高鳴る想いをなんと言葉にしていいのか答えが出ないまま、私は彼の瞳を見つめ返していた…―。

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