第1話 大人のエスコート

文壇の国・東雲 薫の月…-。

多くの著名な作家達が集うこの国では今、数日間に渡って行われる盛大な小説展が開かれている。

(カゲトラさんに案内してもらえるなんて……楽しみだな)

招待を受けた私は、東雲と地続きの国であるヴィルヘルムの王子であり、マーグレットという名前で活躍する、人気絵本作家のカゲトラさんと約束していた。

すると…-。

カゲトラ「よく来たな。〇〇」

声をかけられ振り返れば、背の高い彼の姿が視界に飛び込んできた。

〇〇「カゲトラさん。お久しぶりです」

カゲトラ「ああ。 今日は、文壇の国が誇る数多くの作品が展示されてる。 お前が気に入るものもあるだろうから、楽しみにしているといい」

〇〇「ありがとうございます」

私がお礼を言うと、カゲトラさんは笑みを深める。

主催者の一人である彼は、ネクタイを締めたかっちりとした格好をしていて……

(こういう服装も素敵だな)

いつもと違うその姿に思わずドキリとした、その時だった。

カゲトラ「……綺麗だな」

〇〇「え……?」

カゲトラ「着物。すげえ似合ってる」

そう言ってカゲトラさんは、軽く曲げた腕を私の方に向ける。

〇〇「ありがとうございます」

カゲトラさんの腕に手を添えると、彼が優しい笑みを浮かべた。

そして……

カゲトラ「……行くか」

私は彼にエスコートされながら、会場の奥へと歩みを進めるのだった…-。

第2話>>



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