第5話 離された距離

再びブレスレットが光を発し、ほのかに手元を照らしている。

ヴァスティ「これは…-」

注意深く見つめていると、ブレスレットの光はだんだんと収まっていった。

ヴァスティ「俺達が離れられなくなったのは、この光が関係しているのか?」

ヴァスティさんがつぶやくように口にした言葉に、私は……

(何かに反応していた気がするけど……)

〇〇「どうでしょうか……」

ヴァスティ「不思議の国だ。そういうこともあるのだろう。 近くで見せろ。外すことはできないのか?」

〇〇「あっ」

ヴァスティさんが手首を自分の目線まで持ち上げると、引かれた私の体が彼に寄ってしまう。

ヴァスティ「ほう……」

近づいた距離に、ヴァスティさんが唇にうっすらと笑みを浮かべた。

ヴァスティ「ブレスレットもよく見えるが……お前の顔もよく見えるな」

〇〇「ヴァスティさん、近いです……!」

ヴァスティ「俺から離れようとするな。 下手に動くと危ないぞ」

触れ合いそうなくらい近づく体の距離に、胸がドキドキと騒がしい。

(そんな間近で見つめられたら……)

ヴァスティ「これなら、恥じらうお前の顔も俺のものだ」

なお近づけられるヴァスティさんの瞳に、戸惑う私の姿が映される。

〇〇「ヴァスティさん、やめてください……!」

私の心情を見透かしたかのような艶めいた微笑みに、思わず声を漏らすと…-。

再び、目がくらむほどの光と金属音がブレスレットから放たれた。

ヴァスティ「〇〇!」

激しい音とまばゆい光の中、ヴァスティさんが私の方へと手を伸ばす。

(何……!?)

けれど、何かに遮られるように、彼の手ははじかれてしまった。

ヴァスティ「……なんだ、これは」

〇〇「いったい、どうなって…-」

恐る恐るヴァスティさんに手を伸ばせば、同極の磁石のようにお互いの手が反発し合う。

(ヴァスティさんに触れられない……!?)

ヴァスティ「……〇〇」

名前を呼ばれ、顔を上げる。

この事態に、私を心配そうに見つめる彼に……ただ、戸惑うことしかできなかった…-。

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