第1話 見透かすような瞳

不思議の国・ワンダーメア トランピア 彩の月…-。

ハーツ君に誘われた私は、トランピアで行われる映画の撮影を見学に来ていた。

スタッフ「一旦休憩に入ります!」

現場に響く声に、張り詰めていた空気が緩む。

スタッフさんの邪魔にならないように、何げなく周囲を見回していると…-。

??「こんなところでお前に会うとはな」

(この声は…-)

〇〇「ヴァスティさん!」

耳に届く低い声に振り返ると、ヴァスティさんがこちらに歩いてくるのが見えた。

ヴァスティ「久しぶりだな、〇〇」

〇〇「ヴァスティさんもいらっしゃってたんですね」

ヴァスティ「ああ」

罪過の国の王子で、強欲の官吏でもあるヴァスティさんは、裁判をテーマとするこの映画の参考人として呼ばれたのだと教えてくれた。

(会えるなんて思っていなかったから、嬉しいな)

思わぬ彼との再会に、自然と頬が緩んでしまう。

ヴァスティ「俺も会えて嬉しいぞ」

〇〇「え……?」

(私、口に出してた?)

心を見透かされたような言葉に息を呑むと、彼はふっと笑みを浮かべた。

ヴァスティ「わかりやすい奴だ」

私の頭に優しく手を置いて、彼は自信ありげに口角を上げる。

ヴァスティ「お前は相変わらずかわいいな」

〇〇「そんなこと…-」

熱を持つ頬が恥ずかしくて、私はつい言葉を詰まらせてしまう。

ヴァスティ「以前からワンダーメアの街は気になっていた。見たことのない街は興味深いからな。 参考人としての俺の役目は終わったらしい。 今から視察も兼ねて街を見て回ろうと思っているのだが…-。 もちろん、お前も来るだろう?」

〇〇「はい!」

肯定は当然とばかりの淀みない口調に、私も頷いて返す。

彼が自然な仕草で私の手を取り、指を絡めると……

触れた肌から伝わる彼の温もりに、胸が甘くくすぐられた…-。

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