第3話 皆の笑顔のために

町の広場に到着すると…-。

さっそく卵を美しく飾るための塗料やビーズが準備された。

レオニー「さてと……これだけ量があると大変だけど、皆のためにも頑張らないとな!」

○○「うん。日が暮れるまでにある程度進むといいね」

私たちはその場に隣り合って腰を下ろし、卵に色を塗り始める。

すると物珍しいのか、様子を見に子ども達も集まって来た。

小さな男の子「レオニー様、何やってんの?なんか楽しそう!」

髪の長い女の子「あたしたちにもやらせてー!」

レオニー「ええー!?お前らホントにできんのか?しかたねえなー…」

ぶつくさと言いながらも、レオニーは子ども達に色の塗り方を教え始める。

(レオニー、相変わらずなんだな)

(勇気さえあればって、いつも言ってるけど)

レオニーは、前にオズワルドさんからもらった勇気をなくしてしまったと言っていて……

本人は臆病なことを気にしているけれど、心優しいレオニーは、街の人からとても慕われている。

こうして子ども達と一緒に色塗りを進めたけれど…-。

……

卵の数は思った以上に大量で、陽が沈んでも終わらなかった。

○○「困ったね。せっかく子ども達にも手伝ってもらったのに全然終わらない……」

さすがに少し疲れて絵筆を休めた時だった。

レオニー「なんとかして終わらせねえと……楽しみにしてくれる人がいるんだから。 それに、オレこういうの、ちょっと楽しいっていうか……」

レオニーは集中して、卵に色を塗り続けている。

そんな姿を見て私は……

○○「レオニーはすごいね。皆のために夢中になれて」

レオニー「……へ?そうか?」

素直に思ったことを言うと、彼は両手を前に組んで恥ずかしそうにする。

ふと筆の動きが止まってレオニーは仕上がった卵の山を見た。

レオニー「やっぱりオズワルドは本当にすごいヤツだ……皆の望んでるものを皆にくれる。 オレは失くしちゃったけど、勇気をもらったし、昼間のおばさんも言ってただろ?」

レオニーの言葉に昼間のことを思い出す。

ーーーーー

籠を持った女性「けれど、あの大魔法使いオズワルド様のことだし、また素敵な魔法をかけてくれるんだろ? 最近、悪いこと続きだったけど、祭りと聞いて、あたしゃ少しだけ楽しみが増えたよ……」

ーーーーー

○○「オズの大魔法使い……」

レオニー「ああ!オズワルドが考えることはこの虹の国の皆をいつだって元気にさせるんだ! あんなにすごいアイディアが次々浮かぶオズワルドは本当にすごいヤツだ!! きっと今回の祭りだって、オズワルドは感謝祭なんて言ってたけど……」

仕上がった卵の山を見てレオニーは目を輝かせる。

だけどそのブルーグリーンの瞳が微かに陰った。

レオニー「それなのにオレは、今日だってイタチなんかにビビッて……。 けど、そんなオレでもこうしてオズワルドを手伝うことで、皆を笑顔にできるなら……」

○○「レオニー……」

目をこすりながら、レオニーは再び卵の表面に筆を走らせ始めた。

その目の奥にはしっかりとした意思の強さが見て取れる。

(レオニーだって優しくて、街の皆に好かれてるのに)

○○「私はレオニーだってすごいと思うよ?」

レオニー「え?オレ!?」

○○「うん。オズワルドさんとは違うすごさだけど、比べることに意味なんてないし」

レオニー「……。 あ、アンタは無理せず休んでくれよ?付き合わせちまって悪いな」

○○「ううん、平気。レオニーの顔見てたら、疲れが飛んじゃった」

レオニー「へ?な、なんだよそれ……」

少し顔を赤くしたレオニーは、すくっとその場から立ち上がると空に浮かぶ月を見た。

レオニー「よし!今夜はもうひと頑張りだ!」

気合を入れると再び作業に没頭し始める。

(レオニー……)

すぐ傍にいるレオニーが、なんだかとても男らしく思えた…-。

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