第2話 大魔法使いみたいに

レオニーとシンヴァ領の街にたどり着いて、しばらく…-。

レオニー「ん?あれは…-」

街の中心から籠を抱えた女性が近づいてきた。

(なんだろう?きょろきょろ辺りを見てるけど……)

レオニー「道にでも迷ったか?」

籠を持った女性「これはこれはレオニー様!ちょっと娘と約束をしたのだけれど、道がわからなくなってねぇ……」

女性は手にしていた籠を道端に置くとレオニーと話をし始めた。

レオニーも同じように籠を道端に置いて、彼女の話を親身になって聞いている。

レオニー「それなら多分教会の方じゃないか?ええと、今地図を……」

どうやら女性は娘に届けるための卵を農場から受け取って来たらしい。

(レオニーってきっと、困ってる人がいたらほっとけないんだろうな。)

彼の親切な姿を見て微笑ましく思っていた時だった。

○○「!?」

道端に近づく小さな影が視線の端をかすめた。

○○「レオニー、大変!卵が……」

レオニー「へ!?う、うわあああぁ!!」

○○「……っ!」

卵の籠を狙ったイタチらしき姿を見て、レオニーが叫び声を上げた。

(お、大きな声……!)

その大きな声に驚いてイタチは籠をひっくり返してその場から逃げて行く。

レオニー「う、うわぁ……びっくりした!なんだ、ただのイタチか……」

○○「卵は無事!?」

慌てて道端に転がった卵を拾い集めようと手を伸ばしたけれど…-。

籠を持った女性「ありゃ!困ったよ。レオニー様の卵と娘の卵が混ざって……」

レオニー「げぇ……本当だ。どうすりゃいいんだ!? 困ったな。あの卵はオズワルドからもらった特製なのに……」

籠は二つともひっくり返り、完全に混ざり合ってしまっている。

籠を持った女性「まあ、オズワルド様の……それは大変!ごめんねぇ、レオニー様……」

女性は恐縮して混ざった卵を見ておろおろしている。

レオニー「いや、謝らなくてもいいけど、でも区別つかねぇと……。 せっかくオズワルドから頼まれた大切な仕事だったのに、オレ……」

すっかり頭を抱えてしまったレオニーを見て私はとりあえず拾い集めようと卵に手を伸ばした時だった。

○○「あ、この卵重い。そうだ!重さを比べれば分けられるかも」

レオニー「そうか、オズワルドの卵は機械仕掛けだし、サイズや重さが普通の卵と違うんだ!」

その後、なんとか私達はひとつひとつ確かめて卵を無事分別することができた。

籠を持った女性「いやぁ、本当に助かったよぉ。まさかイースター祭り用の物とは知らずに悪いことをしたねぇ……」

レオニー「だから気にしなくていいって」

籠を持った女性「けれど、あの大魔法使いオズワルド様のことだし、また素敵な魔法をかけてくれるんだろ? 最近、悪いこと続きだったけど、祭りと聞いて、あたしゃ少しだけ楽しみが増えたよ。 レオニー様もお手伝い、どうか頑張っておくれね」

女性は最後に労いの言葉をかけて、その場を去っていった。

○○「よかったね、レオニー」

声をかけてもレオニーは何やら思い詰めた様子で……

レオニー「オズの大魔法使いか。それに比べてオレは……」

拾い集めた卵の籠を持ち上げてレオニーは小さくつぶやく。

○○「レオニー?」

少し心配になって声をかけると、彼は取り繕ったような笑みを浮かべた。

レオニー「さっきは○○のおかげで助かった。ありがとな。おかげで卵が混ざらずに済んだし。 ああやって祭りを楽しみにしてくれる皆のためにも頑張らないと」

レオニーはそう言って笑って見せたけど……

(やっぱりどこか寂しそう)

私はレオニーが一瞬見せた顔が忘れられなかった…-。

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