第5話 クリスマスプレゼント

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ハルディーン「……これ、茶葉、か?」

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それから…ー。

ティーカップから柔らかな白い湯気が立ち上る。

○○「なんだか、香りが濃くなった気がするね」

ハルディーン「生葉でもけっこう甘い香りがしてたからな」

雪原で見つけたあの茶葉を使い、私達は紅茶を淹れてみることにした。

ハルの城で茶葉を加工し、いよいよ飲めるようになり…ー。

(甘くていい香り……)

香りに引き寄せられて、一口飲んでみる。

○○「……おいしい!」

ハルディーン「うん、美味いな」

爽やかな甘さの紅茶が、冷えた体をじんわりと温めていく。

ハルディーン「それにしても、こんな茶葉は初めて見たぞ。茶木の背も全然高くなかったし。 それに、あの場所にこんなのが生えるなんて、今までになかったしな」

ハルはしばらく、不思議そうに考え込んでいたけれど……

ハルディーン「……わかった!」

明るい声を上げて、琥珀色に輝く紅茶を見つめた。

ハルディーン「これはきっと、雪が降ったからできた茶葉だ!」

○○「え…ー」

目を丸くする私を見て、ハルが笑みを深くする。

ハルディーン「うん、そうだな。それしか考えられない。それにしても、こんなことあるんだなー」

ハルは感心した様子で、紅茶をひと口飲んでみせる。

(雪から生まれた紅茶……)

信じられないようなことだけど、ハルが言うと本当にそんな気がしてしまう。

(雪がくれた、特別な贈り物なのかな)

私は紅茶を飲みながら、なんとも言えない幸せを感じていた。

ハルディーン「……なんかオマエ、すっごく幸せそうな顔してるな?」

○○「うん……この香りも、味も、今この時だけのものなのかなって。 そう思ったら、すごく特別なもののような気がしたの」

再び紅茶を口に含むと、優しい気持ちで満たされる。

ハルディーン「特別……か、そうだ!それだ!シュガー!」

○○「え?」

ハルディーン「この紅茶を皆に贈る!」

(これを……皆に?)

ハルディーン「せっかくのクリスマスのプレゼントなんだから、特別なものじゃないとな!」

○○「……でも大変じゃない?」

冷たい雪に埋もれた茶葉を摘んで、街の人達にプレゼントするのは容易ではない。

ハルディーン「でも、今だけの特別なものだ。そうだろ?」

ハルの瞳に迷いなどなかった。

ハルディーン「そうと決まれば、さっそく準備に取りかかるか……っと、その前に、この紅茶に名前をつけないと」

○○「名前……」

(雪の下に生まれたから……)

○○「『スノウリーフ』って名前はどうかな?」

ハルディーン「おっ!やるじゃん、シュガー!オレのあだ名づけセンスと張り合えるぞ」

○○「ハルのあだ名のセンス……ふふっ」

ハルディーン「なんで笑うんだよ!こいつめ!」

ハルは笑いながら、私の頭をくしゃくしゃっと撫でる。

(でも本当は、ハルにシュガーっていうあだ名をつけてもらって嬉しかった)

(最初は、少しだけくすぐったかったけれど……)

ハルディーン「……っと、そうだ。あとは、どんなクリスマスにするかなんだけど……」

そう言って彼は、慣れた様子でティーポットを傾ける。

ティーカップに注がれる優しい音が、とても心地よかった…ー。

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