第3話 やきもち

雪が積もった街路樹の枝に、二羽の小鳥が肩を寄せ合い止まっている…ー。

私達はどんなクリスマスにするかを考えながら、街を散策していた。

ハルディーン「……問題は、何をするか、か」

○○「そうだね……」

(街の人達を喜ばせたいっていうハルの気持ちがとても素敵だから……)

(何をしてあげても、きっと皆、喜んでくれるとは思うけど)

ハルディーン「なあ、クリスマスってどんなことをやるのかもっと教えてくれよ」

彼は長いまつ毛を揺らしながら、私を見下ろした。

○○「そうだね……皆でツリーを飾ったり」

ハルディーン「ツリー?」

ハルが、透き通った紫色の瞳をまばたかせる。

○○「うん。大きな木に、クリスマスならではの飾りつけをしたものなんだ。 雪に見立てて綿をかざったり、てっぺんには星をつけたり……。 小さなものから大きなものまで、いろいろあるんだ」

ハルディーン「へえ、面白そうだな!」

話す度に輝きを増すハルの瞳が嬉しくて、私も饒舌になってしまう。

○○「それから、イルミネーション……たくさんの明かりをともした飾りを楽しんだり……」

ハルディーン「それもいいな!皆が喜びそうだ!」

(ハルはやっぱり、皆が喜ぶことが一番なんだな)

嬉しそうに笑うハルを見ていると、こちらまで自然と笑顔になってしまう。

○○「あとは……皆でパーティをして御馳走やケーキを食べたりするんだよ」

ハルディーン「パーティにケーキか!なら、あったかい紅茶も楽しめるな。 聞いてるだけでわくわくしてくる。クリスマスって、いろいろあって楽しいんだな!」

○○「うん、楽しいよ!人それぞれいろんな過ごし方があるけど」

ハルディーン「そっか。だったらどういうものにしたらいいかも、けっこう悩むなあ……」

顎に手をあて唸り始めたハルに、私は…ー。

○○「私は……大切な人と、どんなふうに過ごしたいかが重要だと思うよ」

(ハルが街の人達とどんなクリスマスを過ごしたいか……)

○○「プレゼントも、大切な人を思って用意したものなら、どんなものだって喜んでもらえると思う。 大事なのは気持ちだって、そう感じてて……」

ハルディーン「……」

(ハル?)

私を見つめるハルの瞳が優しくて、胸の奥で小さな音が鳴る。

ハルディーン「……確かにそうだ!シュガー、イイこというな!」

ハルは私の頭をくしゃっと撫でた。

○○「……っ!」

ふわりと漂う紅茶の香りが、私の胸をくすぐる。

ハルディーン「……そうか、シュガーは当然クリスマスやったことあるんだよな」

○○「うん」

ハルディーン「……」

さっきまでの笑顔が一転、彼は難しい顔で何やら考え始める。

(どうしたんだろう……)

ハルディーン「クリスマスは恋人とも過ごすものだって、言ってただろ?」

○○「うん……え?」

うかがうような視線を向けられ、ハッとする。

(あ……もしかして)

○○「あの……私、クリスマスは…ー」

言いかけた途端、ハルは慌てて……

ハルディーン「いいや、やっぱり聞きたくない」

そう言いながら、顔を私から背けた。

何か言おうと思ったけれど、口から言葉が出てこなかった。

○○「……」

ハルは街路樹の枝に積もった雪を弄んでいる。

(……もしかして、やきもち妬いてくれたのかな?)

なんだか嬉しくて、私は頬が緩んでしまった。

ハルディーン「何、笑ってるんだよ」

恥ずかしそうな顔をして、ハルがこちらを見ている。

(……見られちゃった)

○○「だって、ハルがやきもち妬いてくれてるのかなと思って」

ハルディーン「……」

ハルが照れくさそうに頭を掻く。

○○「そうだとしたら、嬉しいなって」

ハルディーン「嬉しい?何言ってんだよ。オレは別に……」

ハルは気持ちを誤魔化すように、そっぽを向く。

沈黙が訪れるけれど、不思議とそれが嫌ではなかった。

やがて……

ハルディーン「ま、適当にブラブラ歩いていれば何かヒントが出てくるかもしれないし、行くぞ」

柔らかな雪が未だ降る中、ハルは私の手を引いて力強く歩き出したのだった…ー。

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