刃が夕陽を受けて赤く光る…-。
〇〇「ゼロさんっ……!」
とっさに彼の前に飛び出すと、
ゼロ「〇〇……っ!」
ゼロさんが後ろから私を抱きしめた。
ゼロ「……っ!」
とっさに閉じていた目を恐る恐る開くと……
ゼロさんの肩から、血が流れていた。
〇〇「ゼロさん……!」
青ざめる私を自分の後ろに隠すと、彼は息も荒く男達をにらみつけた。
ゼロ「お前達、自分が何をしたかわかっているのか? この方は、トロイメア王家の〇〇姫だ」
男たち「〇〇姫……!?」
ゼロ「こんな小国の覇権争いに巻き込んで、ただで済むと思っているのか!?」
男1「……ひとまず、逃げるぞ」
男達は、現れた時と同じように、音もなくその場から消え去っていく。
それを見届けると、ゼロさんが大きく息を吐いた。
〇〇「ゼロさん! 大丈夫ですか!?」
ゼロ「かすっただけだ。大事ない。それより……。 ……逃げろって言ったのに。 本当に君は予測不能だな」
何事もなかったかのようにクスクスと笑う彼の傷口にハンカチを当てる。
〇〇「今の人達は……?」
ゼロ「ああ、うちの国は王子がたくさんいてね。 側近たちが、跡目争いをしているんだ。 もう、うんざりだよ」
〇〇「ゼロさん……」
眼鏡の向こうの彼の瞳の色は見えない。
私を気遣うようにかすかに微笑んだ彼の口元が、胸を締めつけた…-。
<<第4話||太陽最終話>>