太陽7話 彼の優しさ

ティアラの贈呈式のため、ステージに上がった私は……

主催者の手によって頭にティアラを乗せられた後、人々の視線を受けながらステージを後にした…-。

トルマリ「〇〇、すごく似合ってるよ」

〇〇「あ、ありがとう。でも……」

トルマリ「……? どうしたの?」

〇〇「うん。その……やっぱりこんなに素敵なティアラ、私には似合わないというか。 絶対、トルマリの方が似合うだろうなって……」

ステージ上で鏡を見せられた時、自分の姿にどこかアンバランスさを感じてしまい……

こうしている今も、内心どこかに隠れてしまいたい気持ちでいっぱいだった。

トルマリ「そんなことないよ! 〇〇、すっごく素敵だよ!」

トルマリは私をまっすぐに見つめながらそう言ってくれる。

けれども……

貴婦人1「見て、隣の子の方が美しいわ」

(……っ!)

会場のどこからか、私に聞こえるか聞こえないかぐらいの囁きが聞こえる。

貴婦人2「どうしてあの子が選ばれたのかしら?」

貴婦人3「ティアラも隣の子の方が似合うのに……」

(……やっぱり、そうだよね……)

トルマリ「……」

至るところから注がれる視線と囁きに、思わずうなだれてしまう。

すると、次の瞬間…-。

トルマリ「……〇〇、ちょっとこっちへきて」

〇〇「えっ……? ト、トルマリ? いきなりどうし…-」

トルマリ「いいから!」

トルマリに手を引かれるまま、私はパーティホールを後にする。

……

〇〇「わぁ……綺麗……」

トルマリと共にやってきた庭園には、一面に色とりどりの花が咲き誇っていた。

トルマリ「どれがかわいいかな~。 ……うん、あの辺のがいいかも!」

トルマリは小走りで駆けていき、しゃがみ込んで花を摘み始める。

その姿を見ていると、先ほどの暗い気持ちが嘘のように晴れていった。

トルマリ「よーし、このぐらいでいいかな。 〇〇、ティアラ貸して」

〇〇「えっ? あ……うん」

私は頭上のティアラをそっと外し、しゃがみ込むトルマリに手渡す。

するとトルマリは、摘んでいた花をティアラに飾り始めた。

(は、花をティアラに? トルマリ、いったい……)

内心驚きながらトルマリの手元を見つめていると、彼が手を動かす度にティアラはより一層かわいさを増していった。

そして……

トルマリ「できた~! ね、〇〇。どう? これかわいくない?」

〇〇「う、うん! 本当に、すごくかわいい……!」

トルマリ「ふふっ、でしょ?」

トルマリは笑顔を見せた後、私の頭にそっとティアラを乗せてくれる。

トルマリ「うん、やっぱり〇〇はティアラが似合う」

そう言うと、トルマリは優しく私の頬を撫でた。

〇〇「トルマリ……」

優しく大きな手は、彼が男の子だということを思い出させてくれる。

トルマリ「笑って、〇〇」

そう言いながら目の前で柔らかく微笑むトルマリに、私もつられて笑顔になる。

そして、二人で笑いあった後……

トルマリ「〇〇はかわいいね」

トルマリは大きく澄んだ瞳で私を見つめながら、そっとつぶやく。

その瞬間、私の胸は大きく跳ねたのだった…-。

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