トルマリと手を繋いでパーティホールへ向かうと、ステージ上ではティアラが輝いていた。
トルマリ「やっぱりかわいいなぁ~」
そう言ってティアラを見つめるトルマリの瞳も、ティアラに負けないぐらい輝いている。
(トルマリがティアラをもらえるといいな……)
そう思いながらステージを見つめていると、ステージの脇のカーテンから主催者と思わしき男性が現れた。
主催者「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。 さて、皆様が最も気にされているであろうティアラ贈呈の件ですが……。 僭越ながらパーティの間、ホールの様子を別室にて拝見させていただきました。 そして、熟考の結果……。 ティアラは〇〇様にお贈りしたいと思います」
(えっ……私!?)
思いもよらない展開に、私はその場で呆然と立ち尽くしてしまう。
――――
トルマリ『ほしいな~ティアラ。アレンジしてリボンと一緒につけると絶対にかわいいと思うんだ』
―――――
(……っ)
主催者「〇〇様? どうかされましたか?」
逡巡する私を主催者がステージへと促すものの、私はその場から一歩も動けずにいた。
すると、その時…-。
(え……?)
誰かの手が逡巡する私の背中をそっと押した。
振り返ると、そこにいたのは……
トルマリ「〇〇、行かないと」
〇〇「トルマリ……」
(あんなにティアラ、欲しがってたのに……)
けれどもトルマリの表情に曇りはなく、私を心から祝福してくれているようだった。
〇〇「……うん」
トルマリの優しい声に促され、私はステージへと向かう。
そうしてステージに上がった私が、トルマリへと視線を送ると、彼は一点の曇りもない微笑みを浮かべながら、私を見つめていたのだった…-。