太陽最終話 幸福の花嫁

ステンドグラスからこぼれる淡い太陽の光が、神殿の中に満ちている…ー。

(まさか、こんなことになるなんて……)

晩餐会もつつがなく終わり、数日が経った頃、純白のドレスを身にまとった私は、緊張で体を硬くしていた。

○○「ディオンさん。やっぱり、私…ー」

ディオン「そう恥ずかしがるな」

ディオンさんが楽しげに笑みを浮かべる。

きっかけは、数日前…ー。

老齢の男性「愛に溢れたお二人に、よく似合う場所がありますよ。 どうぞ、楽しんでいってください」

私とディオンさんは、セフィルさんの遠縁にあたる男性の勧めで、天の神殿へ見学に来ていた。

男性は、せっかくだからと美しいドレスまで用意してくれて……

ディオン「かわいいぞ?」

○○「もう…ー」

ディオン「いや……綺麗だ」

不意に低くなった声に、頬が熱くなる。

ディオン「ほら、お姫様」

ディオンさんが、腕を私に差し出した。

○○「……」

 

私は、その腕にそっと自分の腕を絡める。

ディオンさんのエスコートで、私達は神殿の奥へゆっくりと歩き出した。

ディオン「……覚えているか? この神殿の伝承を」

ーーーーー

ディオン「太陽の光のもと、そこで愛を誓うと愛に溢れた幸せな未来が訪れる……。 天の神殿には、そんな力があると言い伝えられている」

ーーーーー

○○「……はい」

ディオン「俺は地の国の第六王子。どうあがいても、それは変わらない。 天と地の国の問題も、俺が生きているうちに解決できるようなものではないかもしれない」

ディオンさんの声が沈む。

けれど…一。

ディオン「だが、それでも……国のために、俺にできることをしよう」

彼が、穏やかな眼差しを私に向けた。

ディオン「○○……」

○○「はい……」

ディオンさんの淀みのない瞳に、私の胸はとくとくと音を刻み始める。

ディオン「一緒にいてくれるか?」

澄んだ声が、二人きりの神殿内に響き渡った。

(私は……何があっても、大切な人と一緒にいたい)

自分の気持ちに正直に、私は彼を見つめて頷く。

○○「はい。いつまでもディオンさんの傍にいさせてください」

ディオンさんは安堵したように頬を緩めて……

この上なく、嬉しそうに笑ってくれた。

ディオン「……ありがとう、○○」

真剣な声で言う彼に、鼓動はさらに速さを増す。

すると……

ディオン「じゃあ、式の予行演習でもしていくか」

○○「え?」

ディオン「せっかくだ。ここで愛の誓いとやらをしてみるのも悪くない」

これまでの真剣な雰囲気とは一変、ディオンさんが冗談めかすようにそんな言葉をロにする。

ディオン「お前は俺に、生涯の愛を誓うか?」

○○「そ、そういうのは普通、神官の方から…ー」

ディオン「俺は誓える」

○○「……」

ディオンさんは再び真剣な表情を浮かべ、私にまっすぐ向き直った。

ディオン「こんなろくでなしにも、プライドはあってな。 今回はお前に世話になってばかりだった。挽回したい」

○○「ディオンさん……だからディオンさんは、ろくでなしなんかじゃないです」

ディオン「ふっ……頑固なお姫様だ」

小さく笑った後、彼がそっと私の手を取り跪く。

○○「……!」

愛おしげな眼差しで、ディオンさんは私を見上げた。

ディオン「お前が俺と一緒にいてくれるなら……この生涯をお前に捧げよう。 必ず、お前を世界で一番幸せな花嫁にしてやる」

ディオンさんの言葉は、まっすぐ私だけに向けられている…ー。

○○「ディオンさん……」

ディオン「……返事は?」

込み上げてくる熱い想いに胸が震え、私は小さく頷く。

するとディオンさんは、微笑みを浮かべながら立ち上がり……

ディオン「いい子だ……」

熱くなっていた頬を彼の手が包み込み、おもむろに唇を寄せる。

優しく愛に溢れた誓いのキスを交わしながら、私はこれから訪れるであろう彼との幸せな未来に思いを馳せたのだった…ー。

おわり。

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