太陽SS 地上を照らす一筋の光

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老齢の男性「愛に溢れたお二人に、よく似合う場所がありますよ。 どうぞ、楽しんでいってください」

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セフィルの遠縁だという男の勧めで、俺は○○と共に天の神殿を見学することになった。

(しかし……まさか、ドレスまで用意されているとはな)

今、○○は男が厚意で用意してくれたドレスに着替えている。

俺は彼女の支度が整うのを、用意された別室で煙管をふかしながら待っていた。

するとその時、部屋にノックの音が響き……

神官「ディオン様。もうすぐ姫様のお支度が整うとのことです」

ディオン「ああ。わかった」

煙管の灰を落とし、ソファから立ち上がる。

そして……

ディオン「……さて。俺の花嫁を迎えに行くか」

窓から差す光に目を細めながらつぶやいた後、俺は○○の待つ部屋へと向かったのだった。

……

ステンドグラスから射し込む光に照らされながら、俺達は神殿の奥へとゆっくり歩き出す…ー。

(こんな光の中を、自分が歩けるとは思わなかった)

(国のことも俺自身のことも、諦めていたというのに)

冷たい眼差しを向ける肉親、自分のせいで命を落とした乳兄弟、そして失ってしまった友人……

さまざまなものが頭の中をよぎって、心がずきりと痛む。

(だが、それでも……)

ディオン「……覚えているか? この神殿の伝承を」

(太陽の光のもと、そこで愛を誓うと愛に溢れた幸せな未来が訪れる……)

○○「……はい」

隣を歩く○○が、小さく頷く。

ディオン「俺は地の国の第六王子。どうあがいても、それは変わらない。 天と地の国の問題も、俺が生きているうちに解決できるようなものではないかもしれない。 だが、それでも……国のために、俺にできることをしよう」

(お前が傍にいれば、どんな困難も乗り越えられる)

俺は、光に包まれる信じられないほど美しい彼女を見つめた。

ディオン「○○……」

○○「はい……」

ディオン「一緒にいてくれるか?」

二人きりの神殿内に、俺の想いが響く。

すると○○は、俺を見つめて頷き……

○○「はい。いつまでもディオンさんの傍にいさせてください」

その言葉がもたらす幸福感が、俺の心を満たしていく。

ディオン「……ありがとう、○○」

(こんなにも心が温かくなるのは、初めてだ)

溢れる幸福感を、俺は静かに噛みしめていた。

(だが……このままでは格好がつかないな)

ディオン「じゃあ、式の予行演習でもしていくか」

○○「え?」

冗談めかす俺に、○○は驚いたような声を上げる。

ディオン「せっかくだ。ここで愛の誓いとやらをしてみるのも悪くない。 お前は俺に、生涯の愛を誓うか?」

○○「そ、そういうのは普通、神官の方から…ー」

ディオン「俺は誓える」

(俺にとってお前は、ただ一人の大切な存在なんだ)

○○「……」

俺は○○にまっすぐ向き直り、彼女の瞳を見つめた。

ディオン「こんなろくでなしにも、プライドはあってな。 今回はお前に世話になってばかりだった。挽回したい」

○○「ディオンさん……だからディオンさんは、ろくでなしなんかじゃないです」

ディオン「ふっ……頑固なお姫様だ」

小さく笑った後、俺はそっと彼女の手を取り跪く。

○○「……!」

(頑固で、愛おしくて……)

(誰よりも大切なお姫様だ)

見上げた先にあるものは、最愛の人の姿…ー。

ディオン「お前が俺と一緒にいてくれるなら……この生涯をお前に捧げよう。 必ず、お前を世界で一番幸せな花嫁にしてやる」

○○「ディオンさん……」

ディオン「……返事は?」

俺を見つめ返す○○が、小さく頷いた。

ディオン「いい子だ……」

ゆっくりと立ち上がると、俺は熱を帯びた彼女の頬を両手で包み込み……

そのまま、重ねるだけのキスを落とす。

(何があろうとも、お前を守り続ける)

(太陽とて敵わない、俺だけの光を…一)

唇を離すと、ほんのりと頬を染める○○が微笑みを浮かべる。

あまりに美しいその姿は、俺の胸に深く刻み込まれ……

(生涯、消えることはないだろうな)

(お前への想いと同様に…ー)

溢れる光の中、俺は再び○○へと唇を寄せたのだった…ー。

おわり。

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