不穏に揺らめく鏡面を見ていると、私の背後に黒いローブをまとった人物が浮かび上がった…-。
〇〇「……!?」
背筋が凍るような視線を感じて振り返るけれど、誰もいない。
鏡に視線を戻すと、黒ずくめの人物は間違いなく私の後ろにたたずんでいる。
(まさか……死神?)
プリトヴェン「どうかした?」
怪訝な表情を浮かべる彼には、死神の姿が見えていないようだった。
〇〇「あの…-」
鏡の中で死神の手が私の肩に触れた途端に、着ていた服が、リンゴのように真っ赤なドレスへと変わる。
(え……!?)
考える間もなく体が動かくなり、声も出せなくなってしまった。
プリトヴェン「……〇〇、そのドレス…-。 待つんだ、〇〇……!」
異変を感じとった彼が肩に触れるのに構わず、私はテーブルに置かれたリンゴを手に取る。
(死神のリンゴをかじってしまった娘は……魂を……)
湧き上がる恐怖とは裏腹に、私の唇はリンゴへと吸い寄せられていった…-。