太陽7話 内緒の笑み

甘い香りを振りまくお菓子の屋台や、かわいく飾られた建物が、心を弾ませる…-。

彼に手を引かれるまま、私は収穫祭で賑わうクロノプラムの街へとやってきた。

〇〇「この時間は、かなり賑やかですね」

街は仮装する人々で溢れ、お菓子をねだる子ども達の姿も多く見られる。

〇〇「でも、どうしてクロノプラムに?」

私は首を傾げながらティンプラさんに問いかけた。

ティンプラ「それは…-」

口を開きかけたティンプラさんは、すぐに何かを考えるように押し黙ってしまう。

けれど、それはわずかな間のことで……

ティンプラ「……内緒です」

(え……?)

ティンプラさんは、いたずらっぽい笑みを浮かべている。

今まで見たことのない彼の表情に、私の鼓動は大きく高鳴った。

ティンプラ「〇〇? どうしましたか?」

ティンプラさんが、熱を帯びる私の顔を覗き込む。

〇〇「ええと……」

思わず答えに詰まってしまったけれど……

ティンプラ「キミも、内緒……ですか?」

〇〇「えっ? あ……はい、内緒です」

先ほど彼がそうしたように笑みを浮かべ、なんとか赤くなった頬を誤魔化そうとする。

すると私の心に気づいているのかいないのか、ティンプラさんは深く追求することなく、私の手を引いて歩き出すのだった…-。

……

賑わうクロノプラムの街を歩いていくうちに、少しずつ人通りが少なくなってくる。

(ティンプラさん、どこに行くつもりなんだろう?)

疑問に思いながらティンプラさんの隣を歩いていると、やがて時計台の裏手にある路地に差し掛かったところで、彼がぴたりと足を止めた。

〇〇「……?」

(目的地は、時計台……なのかな)

人通りがほとんどない、薄暗い路地から時計台を見上げた時…-。

ティンプラ「……〇〇」

私の肩に手を置いたティンプラさんが、真剣な表情を浮かべる。

〇〇「ティンプラさん? あの、どうしたんですか?」

すぐ傍で揺れる美しい瞳を見ながら問いかけた、その時だった。

ティンプラ「目を……閉じてもらえませんか?」

〇〇「え……?」

(それって、もしかして……)

紡がれた言葉の意味を理解した瞬間、私の胸はこれ以上ないほど大きく高鳴る。

ティンプラ「嫌ならば、無理にとは言いません。ですが……。 もし嫌でないのなら、目を閉じてもらえませんか?」

ティンプラさんは私から視線を外すことなく、静かに言葉を紡ぐ。

一見落ち着いているように見えた彼だけれど、肩に置かれた手には少しだけ力が込められていて……

〇〇「……」

ティンプラさんの手から伝わる緊張を感じながら、私は彼の言う通り、ゆっくりと目を閉じた。

すると……

〇〇「……!?」

次の瞬間、なぜか体がふわりと浮くような感覚を覚えたのだった…-。

<<太陽6話||太陽最終話>>