太陽7話 想いの先にあるもの

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ヴァスティ『お前は誰のものだ? お前の想いは誰に向いている』

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揺るぎのない澄んだ声は、私の心に寄り添うように語りかけてきた。

〇〇「私の想いは…-」

言葉を詰まらせる私に、ヴァスティさんの口が緩やかに弧を描く。

ヴァスティ「不安になることはない。この程度、必ずどうにかしてやる。 俺はあらゆる手段をもって、お前を必ず満たしてやる。 お前を不安にさせる全てを許すつもりはない」

〇〇「ヴァスティさん……」

ヴァスティ「言え、〇〇。お前は誰のものだ?」

(ヴァスティさんは、どこまでもヴァスティさんらしいな…)

彼の毅然とした言葉を聞くと、心を覆っていた不安がぬぐわれていった。

〇〇「私は……私の心はいつもヴァスティさんと共にあります。そして…-」

頬が熱くなるのを感じながら、彼への想いを返すように丁寧に言葉を紡いでいく。

〇〇「私も……あなたを満たしたいです」

ヴァスティ「……そうか」

ヴァスティさんが満足げに頷いた次の瞬間、涼やかな金属音が空気を震わせた。

カランと音を立てて、ブレスレットが、足元へと落ちる。

ヴァスティ「……外れたな」

〇〇「……はい」

(どうして外れたのかは、よくわからないけど……)

光を失ったブレスレットを見ていると、不思議な感慨が湧いてきた。

(このブレスレットがなかったら、さっきみたいなことは言えなかったかもしれない)

(もしかして…-)

けれどそれ以上考えても、答えはわからない。

(とにかく……外れてよかった)

ヴァスティ「これで一件落着か」

〇〇「……そうですね」

彼の言葉に、私もようやくほっと胸を撫で下ろした。

ヴァスティ「……ところで、〇〇」

〇〇「はい、なんでしょうか?」

視線がぶつかれば、ヴァスティさんの瞳に悪戯な色が浮かぶ。

ヴァスティ「この俺を満たしてくれるそうだが、どうやって満たすつもりだ?」

〇〇「! ……それは」

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ヴァスティ『言え、〇〇。お前は誰のものだ?』

〇〇『私は……私の心はいつもヴァスティさんと共にあります。そして…-。 私も……あなたを満たしたいです』

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〇〇「あの時は夢中だったので…-」

たじろぐように体を引くと、強い力で彼の腕の中へと抱き込まれてしまった。

ヴァスティ「逃げることは許さん」

強気な言葉が耳をかすめる一方で、大きな手が私の髪を優しく撫でる。

ヴァスティ「今日、改めてわかった。俺のものになってなお、初めて知るお前がいる。 ……それが俺を掻き立てる」

告げられる言葉は、どこまでも甘く私の胸に響いた。

ヴァスティ「愛しむだけでは飽き足りん。お前の全てを暴き、俺のものにする」

〇〇「すべてって……」

彼の目がはらむ熱が移ったように、私の頬も熱を持っていく。

ヴァスティ「仕方ないだろう。俺をここまで煽るお前が悪い。 ……やはりお前は罪深いな」

ヴァスティさんの手が、優しく私の頬に添えられて……

彼を見上げた視線の先に、傾き始めた陽が見えた。

それはまるで、彼の熱を表すかのように、街路を真っ赤に染めていた…-。

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