太陽最終話 仲間として

研究所に、ドシンという鈍い音が響き渡って…-。

〇〇「スネークさん、大丈夫ですか!?」

派手に転んでしまったスネークさんに駆け寄り、慌てて声をかける。

スネーク「……」

スネークさんは、なかなか顔を上げようとしない。

(どうしよう。もしかして、打ち所が悪かったんじゃ……)

不安に思っていると、スネークさんがむくりと顔を上げた。

〇〇「スネークさん、よかっ…-」

スネーク「……緊張しすぎた!」

(えっ……)

彼の大声に、唖然としてしまう。

スネーク「……って、ワイルドが言ってる」

〇〇「……」

彼が放った言葉は、あまりにも素直なものだった。

(なんだか……スネークさん、かわいい)

つむじから立つ髪の束がぴんと強張っているのを見ると、なぜだか愛おしさのようなものが込み上げ、頬が緩む。

〇〇「緊張、しちゃいますよね」

こらえ切れず声を出して笑うと、スネークさんの口角も少し上がる。

研究員「そんなに緊張なさらなくても大丈夫ですよ」

つられるように、他の人達も笑った。

研究室の中が、一気に和やかな雰囲気へと変わっていって…-。

〇〇「スネークさん」

しゃがみ込んだままの彼に、そっと手を差し出す。

スネーク「……〇〇……?」

スネークさんが、きょとんとした様子で私を見つめる。

〇〇「大丈夫ですか?」

スネーク「……」

彼の手が、ゆっくりと……私の手の方へ伸びてくる。

スネーク「あ、ああ。全然大丈夫だ……! って、オスカーが言ってる」

〇〇「心配しちゃいました」

私の手のひらに、彼の指先が触れる。

(少し冷たい……けど)

心の中に、温かなものがじんわりと広がっていく。

スネーク「……恥ずかしいな。 って、ゲーテが言ってる」

〇〇「続き、できそうですか?」

問いかけると、スネークさんは小さく頷く。

スネーク「役に立てるように、力を尽くしたいと思います。 って、キーツが言ってる」

彼の背後で、蛇達もどこか嬉しそうに体を揺らしている…-。

スネークさんは、持ち場について毒液の入った試験官を真剣に見始めた。

(すごく真剣な表情……)

スネーク「蛇の毒は免疫を強める効果もある。その研究も進められるといいのではないか? って、ワーズワスが言ってる」

スネークさんは、研究を自ら提案している。

研究員「とても興味深いですね……そちらも、是非進めさせていただきたいです」

スネーク「あと……」

(スネークさん、生き生きとしている)

背筋を伸ばし、実験を始めた彼は、出会った時よりもどこか凛々しく見える…-。

(あ……)

時折、スネークさんの頬がほころぶ。

(スネークさん、楽しそう)

私は、嬉々として研究を進めている彼の姿を見守った…-。

……

それから数日後…-。

スネークさんの協力により、研究は滞りなく進んだ。

〇〇「サキア、喜んでいました。スネークさんのおかげです」

新しい麻酔や免疫保護の薬の開発が進むことになり、サキアもスネークさんの斬新な提案に喜び驚いていた。

スネーク「喜んでもらえて何よりだ。 って、ワイルドが言ってる」

〇〇「これからも是非、協力してほしいって言っていました」

スネークさんの瞳に映る私が、微かに揺れている。

スネーク「これからも? って、ゲーテが言ってる」

〇〇「はい、これからも」

スネーク「……」

彼の瞳に、温かな光が宿り……

スネーク「仲……間……」

〇〇「皆さんはもう、スネークさんのことを仲間だと思っていますよ」

スネークさんは手で顔を隠すようにして、わずかにうつむいた。

〇〇「スネークさん……?」

スネーク「……嬉しい」

指の間から覗く彼の顔には、嬉しそうな笑みが確かに浮かんでいた…-。

おわり。

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