エントリーシートを提出して異能力の込められた駒を受け取り、険しい顔つきのカノエさんと共に、待っているチームメイトの元へと戻る途中…―。
(……もしかしてまた、一人で抱え込もうとしているのかな)
傍にいるのに相談してもらえないことに、胸が切なくなる。
〇〇「カノエさん、何か気になることでもあるんですか?」
いたたまれなくて、気づけば彼にそう言っていた。
カノエ「○○……」
カノエさんは、やや迷った表情を見せつつも口を開く。
カノエ「すまない。不安にさせたようだな。 俺のこの能力……チーム全員の力を集めるかわりに、チームの奴らは動けなくなってしまう。 攻撃力が下がった状態で下手に動けば、格好の餌食になってしまうからな。 だから……かなり使いどころが肝心だと思っているんだ」
〇〇「確かに、使いどころは難しいですね……」
カノエ「……俺が判断を間違えれば、チームが一気に形成不利になって迷惑をかけてしまう」
カノエさんは苦しげに眉を寄せて、また考え込んでしまう。
(やっぱり悩んでる。でも……)
(私には話してくれた)
それだけでも、カノエさんは以前とは変わった気がして……
チームがどうしたら勝てるかのかと、私は思いを巡らせていた…―。