太陽SS 幸せをくれるキミに

街に積もった雪が、きらきらと輝いている…-。

公務でアルビトロを訪れたオレは、腕を組んで歩く恋人達の間を一人で歩いていた。

(……なんだか、いつも以上に人肌恋しくなっちゃうな)

(〇〇は今頃どこでどうしてるんだろう……)

甘く煌めく光景を目の前にして、彼女への想いが膨れ上がってくる。

肌を撫でる風は変わらず冷たいのに、彼女のことを考えると心が温かくなるようで……

ラス「……会いたい」

切実につぶやいた言葉が、白い息と共に宙に広がっていく。

すると、次の瞬間…-。

ラス「おっと」

ぶつかってしまった相手を、とっさに抱きとめる。

??「! すみませ…-」

(あれ?)

抱きとめた相手をよく見ると、それは会いたいと願っていた女の子……

今は離れた場所にいるはずの〇〇だった。

(信じられない……願った瞬間に現れるなんて)

けれど、温もりや柔らかさ……伝わってくる感触に現実感が込み上げる。

(〇〇が、ここにいる……)

(……オレの腕の中に)

恋人達の笑顔が溢れる街の中、願い通りに彼女と会えた喜びを、オレは静かに噛みしめていた…-。

……

再会の翌日…-。

(……あっという間だったな)

スレッドツアーにクリスマスマーケット、そしてレストラン……

オレは〇〇と一緒にクリスマスデートを思いきり楽しみ、幸せな一日の締めくくりとして、イルミネーションが綺麗な広場に彼女を案内する。

ラス「今日のデートは、キミの理想通りだった?」

〇〇「え?」

尋ねるオレを、〇〇は困惑気味に見上げた。

(デートの感想なんて気にしたことなかったのに……キミの感想はすごく気になる)

ラス「キミ、クリスマスデートに憧れてたみたいだったから」

(昨日見たキミの表情が忘れられなくて……張り切っちゃんだ)

オレは、彼女を喜ばせようとデートの下調べをしていたことを伝えた。

すると…-。

〇〇「あの……本当に、特別な一日でした。今までのどんな日よりも……」

大好きな〇〇とのデートで、オレは自分でも驚くぐらい幸せな気分になっていた。

だけどその言葉は、オレをもっと幸せにしてくれる。

(幸せすぎて怖いって、こういうことを言うんだね)

ラス「ありがとう。すごく嬉しいよ。 でも……。 まだ、特別な一日は終わってないよ」

〇〇「え……?」

ラス「もっと甘くて、特別な夜にしてあげる」

(もっとキミを喜ばせたい)

(オレに幸せをくれるキミを……)

オレは彼女の体を包み込み、甘く口づけた。

(キミの願いを叶えたくて、今日はあまり触れないようにしてた)

(でも……キミに触れたい)

(きっとキミも、同じ気持ちでいてくれるはずだから)

その証拠に、〇〇の鼓動がオレ以上に速くなっている。

けれどそのことが恥ずかしいのか、彼女はオレから離れようとした。

ラス「まだ駄目だよ。もっと……もっと甘いキスを、キミにあげるから」

(今はまだ離してあげられない)

(オレのキミへの想いは……こんなものじゃないから)

ラス「……」

相手の理性を溶かすようなものじゃない、ただ触れるだけのキス……

(……大好きだよ)

特別な女の子だけに贈る特別なキスは、胸の奥から溢れるオレの想いを運んでくれたようで、やがて〇〇の体から、少しずつ力が抜けていった。

ラス「……ありがと」

(オレのこと、受け入れてくれて……)

顔を離したオレは、ゆっくりと彼女の髪を撫でる。

ラス「キミに出会うまでずっと、デートなんて抱き合うまでの過程だって思ってたけど……。 愛する人とのデートって特別なんだね」

(何を見ていても、何をしていても新鮮で、全く飽きなかった)

ラス「改めてそう思ったよ」

白い雪が舞う中、優しい笑みを湛える〇〇がオレを見つめている。

ラス「デートしてる間、キミの笑顔を見る度愛しくて……幸せな気持ちで満たされた。 これが本当の愛なんだって、気づかされたよ」

(その人の幸せを、自分の幸せと思える……それが愛なんだね)

〇〇「ラスさん……」

オレは〇〇に、もう一度キスをした。

そうして触れるだけのキスを交わした彼女から、顔を離し……

ラス「どう? キミにとっても、より特別で甘い一日になった?」

今日を特別な一日にしてくれた〇〇に微笑みかけると、やがて彼女は柔らかく目を細めた。

〇〇「はい……。 ラスさんが贈ってくれた、特別な一日……絶対に忘れません」

ラス「〇〇……」

(心が重なることで、こんなにも幸せな気持ちになる)

(そして……心が重なった今だからこそ、キミに触れたい)

光の中、確かな愛情と幸せをくれる彼女の体を包み込む。

(……どうしてだろうね。抱きしめてるのはオレなのに)

〇〇を冷たい雪から守るようにしながら抱きしめているうちに、温かな幸せが俺を包み込み……

オレは腕の中の彼女に優しく包み込まれているような、不思議な感覚を覚えるのだった…-。

おわり。

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