太陽SS キミと過ごす特別な夜

夜の街並みに、華やかな光が浮かび上がる…-。

(〇〇ちゃんの歌、上手だったし……かわいかったな)

そっと目を閉じると、彼女の美しい歌声が蘇ってくる。

恥ずかしそうに歌っている姿は、とても可憐で…-。

(……もう一度聴きたいのにな)

僕がいくら頼んでも〇〇ちゃんは首を横に振ることはなかった。

ふと隣を歩く〇〇ちゃんを見れば、何やら暗い顔でうつむいている。

ダルファー「言葉が少ないね。〇〇ちゃん、そんなに恥ずかしかった?」

顔を覗き込むと、彼女はためらいがちに口を開いた。

〇〇「いえ……あっという間に一日が終わってしまったので、寂しいなと思って」

(なんだ、言ってくれればいいのに)

そのいじらしさは、僕の周りの女の子達はあまり持ち合わせていない。

(そういうところ……本当、くすぐってくれるよね)

ダルファー「もう終わりだと思ってる?」

(終わるわけない……だって夜はこれからだよ?)

ダルファー「クリスマスのこと、たくさん教えてくれてありがとう」

〇〇「あまりちゃんと教えられてないかもしれないですけど……」

彼女は、申し訳なさそうに眉尻を下げた。

ダルファー「そう? あれだけで充分だよ」

今もまだ耳に残る、清らかで愛らしい歌声……

〇〇「あれって?」

彼女が僕を見つめながら、不思議そうに首を傾げた。

(かわいいなあ……)

無性に愛しくなって、僕はそっと彼女を抱きしめた。

(僕からも、キミに贈りたい……)

耳元で彼女が教えてくれた歌を口ずさんだ。

彼女の体から伝わってくる速い鼓動に惑わされないように、心の中でリズムを取りながら……

歌い終わった後も、その温もりを感じていたくて彼女の体を離すことができない。

ダルファー「……キミの歌声、まだ耳に残ってる。歌う愛らしい姿も、ね」

〇〇「わ、忘れてくれると嬉しいです……」

ダルファー「かわいかったし、すごく幸せな気持ちになれたよ。だから、忘れない」

(だってキミ……お願いしても、もう歌ってくれないし)

まぶたの裏にはまだ、あの愛らしい姿が焼きついていて……

また来年のクリスマスになったら彼女のあの歌を聴けるのではないかと期待してしまう。

(来年のクリスマス……か。まだ今年のクリスマスだって、これからなのに)

ダルファー「……不思議だな。 誕生日とか記念日とか……そういうの大事にしたがる女の子の気持ち、よくわからなかったんだ。 でも今は、大切な人と過ごす特別な日っていうのを、キミと過ごしてみたい」

(キミのクリスマスは、僕が独占したいんだ)

ダルファー「キミがクリスマスの歌を一生懸命うたってくれる姿を見て、なんだかすごく愛おしくてね」

(特別な日は、大切な人のいつもと違う姿を見ることができる)

(そして、気持ちを伝えるきっかけにもなる……だから皆、特別な日を大事にするんだね)

ダルファー「こんな気持ち初めてだから戸惑うけど……僕、キミが好きみたいだ」

(キミに出会わなかったら、こんな気持ちを知ることもなかったんだろうな)

そう思ったら、やっぱり腕の中の彼女の気持ちが知りたくなる。

ダルファー「……ねえ、キミは?」

うかがうように覗き込むと、彼女が笑顔を浮かべた。

〇〇「私もダルファーのこと……好きです」

(ああ……キミからの言葉は、どうしてこんなにも心を温かくしてくれるんだろう)

その瞬間、美しい旋律が僕の心に流れ始める。

ダルファー「ああ……今、歌が下りてきた。 今夜はずっと、僕の歌を贈るよ。 僕がどれだけキミを好きか、そのすべてを歌に乗せて」

(僕の歌は、キミのものだから……)

降り積もる雪が世界を白く染めていく中……

止めどなく溢れる愛を、僕は彼女の耳元で囁き続けた…-。

おわり。

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