太陽7話 一緒に帰ろう

サイさんに手を引かれながら、炎の中を進んでいく。

(なんだか、頭がぼうっとする)

煙を吸い過ぎたのか、意識が朦朧としてきている。

(でも、しっかり歩かないと)

けれど意志とは反対に、その場に倒れ込みそうになってしまう。

サイ「○○……?」

私の様子を察したサイさんが、心配そうな声を上げる。

サイ「○○、この子を少しの間よろしくね」

サイさんはそう言って私に子猫を預けてきた。

○○「……サイさん?」

そして、サイさんが私の体を力強く抱き上げた。

○○「サイさん、これじゃサイさんが疲れちゃうよ……」

サイ「いいから、ちゃんと僕につかまって。 それから、僕の胸に顔を埋めて。なるべく煙を吸わないように」

○○「はい……」

少しして、私はサイさんに抱かれたまま、無事外に出ることができた。

○○「ありがとうございます……」

サイ「……無事でよかった」

○○「……サイさん」

たくさんの人達が小屋の前に集まり大騒ぎになっている。

街の人「サ、サイ王子! お怪我は……!」

サイ「僕のことはいい。それより早く、皆で水の用意を! ○○。少しここで休んでて」

サイさんは私を抱えて炎から出てきたばかりにも関わらず、人々を先導して消火の作業を始めた。

頼もしい彼の姿に、胸が音を立てた。

……

やがて無事に火が消えると、周りから大きな歓声があがる。

(よかった……)

サイ「○○、大丈夫?」

○○「はい……サイさん、本当にありがとうございました」

お礼を言うと……

サイ「どうしてあんな危ないことをしたんだ!?」

大きな声で怒鳴られてしまう。

○○「……中に、子猫が……」

初めてみるサイさんのその剣幕に、言葉を返すことで精いっぱいになる。

彼はそんな私を見て、大きくため息を吐いた。

サイ「そうだけど……君は本当に、無鉄砲過ぎるよ。 ○○にはもっと自分を大事にしてほしい」

(サイさん……?)

サイ「本当に、もう無茶はしないで……」

○○「……」

サイさんが真っ直ぐに私を見つめてくる。

いつもとは違う彼の表情に、胸の鼓動が早くなっていく。

(サイさん……)

その時、にゃーと、足元に子猫が頭を寄せてきた。

サイさんはしばらく甘える子猫を見つめていたが……

サイ「……この子、城で飼おうか」

やがて、決心したようにつぶやいた。

○○「え……いいんですか?」

サイ「うん」

○○「でも、国王様は? 確か動物がお嫌いだって……」

サイ「……城の空き部屋で、こっそり飼えば大丈夫じゃないかな。 もしバレたら、君も一緒に怒られてくれる?」

サイさんは、悪戯っぽい笑顔を私に向けた。

○○「はい……!」

サイ「皆で一緒に、城へ帰ろう」

サイさんのその言葉が嬉しくて、私は思わず目を細める。

足元の子猫をサイさんが優しく抱き上げ、皆で一緒に小屋を後にした…-。

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