太陽最終話 いつかもっと強く

私達は、洞窟で見つけた花を手に、城に戻ってきた。

ロルフ「王家の証を、とってきました」

恭しく跪くと、ロルフ君は青い花を国王様に差し出した。

それを見下ろし、国王様は満足そうに笑う。

国王「よくやったロルフ。お前も、立派なこの国の王子だ」

ロルフ「……っ!」

国王様の言葉に、ロルフ君が驚いたように目を見開いた。

その顔は、次第に溢れるほどの笑顔に変わっていく。

ロルフ「ありがとうございます……お父さま!」

(よかったね、ロルフ君)

私の胸にも嬉しさがいっぱいに広がっていく。

国王「あなたにもお礼を申し上げる。ロルフが成し遂げられたのも、あなたのおかげです」

〇〇「そんな……」

国王「恐ろしい思いをさせてしまい……申し出ありませんでした」

国王様が顔を伏せると、城の人達が頭を下げていく。

〇〇「わっ、私は何も……」

慌てて手を振った私に、ロルフ君が目を細めて微笑んだ。

私達は国王様と王妃様に一礼をして、その場を後にした。

部屋に戻ろうとすると……

廊下で、二人の兵士さんとすれ違った。

兵士さん達は、通りがかる私達に深く頭を下げる。

(……?)


二人の兵士が、国王に洞窟での出来事を報告しにやって来ていた。

国王「護衛、ご苦労だった」

兵士1「ロルフ様は、ご立派でした」

兵士2「壁が迫った時は、どうなるかと肝を冷やしましたが……」

兵士1「しっかりと〇〇様をお守りする姿は、とても凛々しいものでした。 我々の国の、立派な王子様です」

国王はその報告に、満足そうに頷くのだった…-。

部屋に戻ると、私達は、ようやくほっと息をつく。

(無事に終わってよかった……)

ロルフ「〇〇ちゃん……」

振り向くと、入り口からロルフ君が顔を覗かせていた。

〇〇「ロルフ君」

ロルフ「あの……」

ロルフ君が、何かを話したそうに視線を彷徨わせる。

そんな彼に、優しく声をかける。

〇〇「どうしたの?」

ロルフ「あの……これ〇〇ちゃんにあげます」

彼が差し出したのは、あの青いお花だった。

〇〇「……いいの?」

ロルフ「この花をとってこられたのは、〇〇ちゃんのおかげだから……」

(ロルフ君……)

そして、何かを思い出したように、ロルフ君が私の手を取った。

〇〇「ロルフ君……?」

ロルフ「えっと……」

私の両手を掴むと、彼は戸惑いながら、でも一生懸命に手に口づけを落とした。

〇〇「え……?」

ロルフ「あ……ごめんなさい……。 これは……感謝のしるしです。 どうぞお受け取りください……おひめさま」

ロルフ君が、たどたどしくも一生懸命、私に想いを伝えてくれる。

ロルフ「お、王子さまはこうやって、気持ちを伝えるって……」

そんな彼の真っ直ぐさに、胸が温かくなっていく。

〇〇「ありがとう、ロルフ君……」

花を受け取ると、ロルフ君の手を握り返した。

つぼみが咲くように、ロルフ君の顔に笑顔が広がっていく。

ロルフ「〇〇ちゃん……大好きです……。 ずっと…ボクのそばにいてくれませんか……?」

〇〇「うん……!」

ロルフ「よかった……」

ロルフ君はほっとしたように私に抱きついた。

ロルフ「待っててください…ボク……もっと強くて、かっこいい王子さまになるから……」

〇〇「え……?」

ロルフ君は、笑ったまま腕に力を込める。

ロルフ「……」

ロルフ君が、照れたように私を見上げる。

そんな彼の背を、そっと撫でた。

(ロルフ君……)

彼の背に回した私の手の中には、彼からもらった美しい花があった。

その花を、月明かりが優しく照らしていた…-。

おわり。

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