太陽8話 君が望んだ世界

城から現れたのは、ネロの親友のお医者様だった。

ネロ「あいつ、何やってるんだ?」

ネロと一緒に、すぐにお医者様へと駆け寄る。

ネロ「おい」

医者「っ……!? ネロ!」

ネロの姿を見た瞬間、お医者様の顔色が変わり、手にしていた荷物を落としてばらまいてしまった。

○○「大丈夫ですか?」

拾おうとした矢先、ネロが私の動きを制した。

ネロ「……待て」

その顔は、ひどく傷ついたような……悲しい顔をしていた。

ネロ「これはどういうことだ。お前が今落としたこの薬……」

医者「……」

お医者様は、苦虫を噛みつぶしたかのような表情を浮かべる。

ネロ「どういうことだ……説明しろ!」

言い訳など許さない顔をして詰め寄るネロに、お医者様は一歩後ずさった。

医者「これは僕の発明した薬だ。それを何に使おうと僕の自由だろう」

ネロ「……」

ネロは城を一瞥してから、お医者様に鋭い視線を向ける。

ネロ「……まさか、お前……」

医者「ネロ、大金が手に入るんだ……チルコの子ども達にとって喜ばしいことじゃないか」

○○「!」

医者「まだ薬は未完成だが、開発支援も検討してくれるそうだ。これでもう子ども達を使わなくて済む」

ネロ「子ども達を……?」

ネロの顔が、みるみるうちに青ざめていく。

ーーーーー

ネロ「最近、眠れないっていう奴が多くなっていて。 それに……いや」

○○「……子ども達の体はなんともないんですか?」

ネロ「医者は、巡業によるストレスのせいだろうって言ってる。 あいつが言うなら、間違いないと思うけど……」

ーーーーー

(まさか……!)

ネロ「おかしいと思ってた……このところ、体の成長が止まったような子供たちが増えてきたんだ」

○○「……っ!」

(まさか……子ども達を被検体に……!?)

ネロ「お前……っ!!」

ネロがお医者様の両肩を掴み大きく揺すった。

ネロ「お前、俺達で……あいつらで実験していたんじゃないだろうな!?」

○○「そんな……!」

医者「ひどい言われようだ。僕は君の望みを叶えてやりたかったのに。 僕は、君の望む世界を実現してやったんだ」

医者の不敵な笑みに、ネロの手が小刻みに震え出す。

医者「普通なら到底無理な、永遠に続く『子どもだらけの世界』をね」

(そんな……!)

ネロ「なんだと……」

医者「だが、やはり子どもとは嫌なものだ。尽くしてやったというのに……自分勝手な感情で喚き立てる。 悪いが僕はもう大人になる。今後はこの国で薬の開発を続けることにするよ。 金を手に入れ、豊かに暮らしていく」

彼は鼻先で笑うと、足元に散らかった薬を拾い始めた。

すると…-。

ネロ「騙したんだな……! 汚い……! 大人も、お前も……汚い!!」

医者「っ……」

ネロが、その怒りと悔しさのままに、お医者様に飛びかかった…-。

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