太陽6話 捕らわれの身

吹き荒ぶ風の音に乗って、艶めいた女性の声が聞こえた…―。

??「どんなに呼んでも、あの方に私の声が届かなかったのはアナタのせいね……」

(この声は……)

??「つまらないの。アナタには聞こえていたのにね」

(あなたは、誰なの……?)

??「仕方ないわね……じゃあ、アナタの体を使わせてもらうわ」

(私の体を? それって、どういう……)

その時……

風が止むと同時に、気だるげな女性の声もぷつりと途切れた。

ヒノト「○○、大丈夫か!?」

はっと我に帰り、私はヒノトさんを見上げる。

けれど……

○○「ええ……なんでもありません」

(……今、口が勝手に動いた?)

私の意思とは関係なく、唇がなめらかに言葉を紡ぎ出す。

ヒノト「そうか……よかった。とりあえず、城へ戻ろう」

○○「はい。ヒノトさんに何もなくてよかったです」

(嘘……どうしてこんな……)

まるで誰かに操られているかのように、体の自由が利かない。

ヒノト「ああ……君が傍にいてくれて、心強かったよ」

ヒノトさんの優しい瞳には、確かに私が映っていた。

(どういうこと? まさか……)

ーーーーー

ヒノト「妖狐は美女に化けたりして、時の権力者を誘惑し、国を滅ぼしたって言われてるんだ。 人間の体に取り憑くこともできて……その体に入り込んで、意のままに操ることができる」

ーーーーー

(妖狐が私に取り憑いた……!?)

混乱する私をよそに、私の唇はすらすらと言葉を紡いでいく。

妖狐「私はいつでも、ヒノトさんの傍にいますから」

ヒノト「○○……ありがとう」

ヒノトさんは私の背中に手を添えて、ゆっくりと歩き出す。

(違う、これは私じゃない……気づいて、ヒノトさん……!)

どんなに叫んでも、私の声はヒノトさんに届かなかった…―。

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