太陽最終話 一番大事に

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カラン『〇〇様……私とお付き合いをしていただけませんか。 返事はすぐにでなくても結構です……では、私は公務に戻ります』

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(どうしよう……)

カランさんからの突然の告白を受けて……

驚きのあまり言葉が出ず、しばらくその場に立ち尽くしていた。

(とりあえず、お部屋に戻ろう……)

踵を返すと、廊下の壁に腕を組んでもたれかかっているリドの姿があった。

〇〇「リド……」

リド「……無理にとは言わねえけど。 兄貴は、あんたのこと大事にしてくれると思うぜ」

リドのその言葉に、自分でも驚くほど胸が痛くなる。

〇〇「どうして、そんなこと言うの……? 私は……」

リド「……」

けれどリドは私の言葉を待たず、背を向けて歩き出してしまう。

〇〇「待って……!」

思わず、リドの手を取っていた。

リド「ど、どうしたんだよ」

(私……)

胸が壊れそうなくらい音を立てている。

けれど、私はもう自分の気持ちを隠すことはできなかった。

〇〇「私……カランさんとはお付き合いできない」

リド「え……」

〇〇「だって、リドといる方が……楽しいの。 もっとリドと、いろんなことがしたい」

言葉がとめどなく溢れ出してくる。

(私、リドのことが好き……)

なぜだか涙が溢れそうになり、懸命にそれをこらえた。

リドは、瞳を揺らしながら困ったようにじっと私を見つめていたが……

リド「……いいのか、オレで」

やがて静かに、声を発した。

〇〇「リドが……一番好きなの」

リド「一番……?」

リドが、私の手をぎゅっと握り返してくれる。

リド「ハハッ……そんなこと言われたら、兄貴に譲るわけにはいかねえな」

不意に手を強く引かれ、顔が彼の胸に引き寄せられる。

(リドの心臓の音が、聞こえる……)

リド「オレもあんたといると楽しい。でも、オレは自分に自信がなくて。 昔っから……兄貴やティーガには敵わなくてさ。 誰かの、何かの一番にはなれないんだろうな、ってなんとなく思ってたんだ」

リドが私を抱きしめる力を強くする。

リド「でも、あんたはオレがいいって言ってくれるんだな。 すげー嬉しい!」

(リド……)

前髪が優しく掻き上げられ、額にキスが落とされる。

〇〇「リド……」

額に触れた熱が、私の頬を染めていく。

そしてそのまま、リドの唇が私の唇に近づけられて……

〇〇「ん……」

優しくキスをするリドの腕をもう一度ぎゅっと握って、伝わった気持ちを確かめる。

(リドが……大好き)

やがて、ゆっくりと彼の顔が離れる。

リド「へへっ……」

リドが頬を赤くしながら、照れくさそうに笑ったかと思うと……

リド「よし! 兄貴に宣戦布告だ!」

唐突に、弾けるくらい明るい声を響かせた。

〇〇「せ……宣戦布告って……」

リド「あんたは、オレが一番大事にしてやるよ!」

その言葉が、私の心を宝石のような輝きで照らしてくれる。

〇〇「……うん!」

リドに手を引かれ、きらきらした気持ちで、胸がいっぱいになっていった…-。

おわり。

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