太陽8話 緊急停止

街を襲ったカラスの撃退に、成功したと思ったのも束の間…-。

リーヤ「な、なんだよ! なんで止まらねーんだよっ!?」

〇〇「ど、どうしたんですか!?」

リーヤ「こいつ……止まらねえっ!!」

どうやっても、案山子が止まらなくなったらしい。

〇〇「リーヤさん、落ち着いたら何か方法が……」

リーヤ「落ち着いてるっつーの!! くそっ!せっかく、初回起動成功したと思ったのに……!」

巨大案山子は、勝手にずんずんと街を離れて行ってしまう。

(このままだと……本当にどうすればいいの!?)

リーヤ「仕方ねー、こうなりゃ緊急停止か」

〇〇「え。そんなのがあるんですか」

リーヤ「ああ、念のためな。けど、一回押しちまったら……」

〇〇「あ、あの、どうなるんですか?」

リーヤ「……もうこいつは、ウンともスンとも動かなくなる。 一度は役に立ったんだ。これで壊れても、また……」

〇〇「リーヤさん……」

リーヤ「んなカオすんなよ。 このままだと国中ぶっ壊しちまうんだ。選択の余地はねえ」

リーヤさんが、覚悟を決めた顔で、緊急停止ボタンのカバーを壊す。

そして…-。

〇〇「……止ま、った……?」

不気味な音を立てて、巨大な案山子はその動きを停止した…-。

……

巨大案山子がやっと停止した場所は、街からは遠く離れた川の真ん中だった。

リーヤ「はぁ……最悪」

〇〇「でも、カラスは撃退できたんですから」

二人で操縦室から外へ出て、やれやれと肩を落とす。

リーヤ「最後まで完璧じゃないと、成功とは言えねーだろ」

リーヤさんが、もう何度目かのため息を吐きかけた時だった。

はっとしたように前方へ視線を向け、それから…-。

リーヤ「危ないっ!!」

私の体を強く抱き寄せ、かばうように包み込んだ。

(な、何!?)

驚いて心臓が暴れたのも一瞬のこと、次の驚きがやってくる。

なんと、カラス達がここぞとばかりに襲ってきたのだ。

リーヤ「っく、なんだこいつら……! 卑怯だぞ!」

リーヤさんは、私を片腕でかばいながら、カラスを追い払おうとする。

(数が多い……これじゃ駄目だ!)

なんとかしなければ、と思った時だった。

街の人1「おおおおお!!!」

街の人2「リーヤ様に何してやがるー!」

街の人々が大勢駆けつけてくれた。

その手には、光を反射する鏡や案山子、作り物の目玉があった。

リーヤ「なんだ……あれ……?」

突然の出来事にあっけに取られていたリーヤさんは、人々が手にするものに気づくと、歓喜の声を上げた。

リーヤ「やった! あいつら、すごいじゃねーか!」

大声と、一気に襲ってきた苦手なものの数々に、カラスが驚き羽ばたく。

それからすぐに、カラス達は退散していったのだった…-。

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