太陽7話 名誉挽回

その翌朝…-。

(よく眠れなかった……)

一晩明けても、まだ彼の手の熱が腕に残っているようだった。

―――――

ジョシュア『君にはずっと、オレがいないと駄目でいてほしいんだ』

―――――

(ジョシュアさんが、あんなふうに思っていたなんて……)

苦しげな彼の表情が、未だ頭に残って離れない。

気まずさを抱えながらも、私は彼の元を訪れた。

ジョシュア「〇〇……」

私の姿を見て、ジョシュアさんは切なげに眉を下げる。

その仕草に、ずきりと胸が痛んだ。

ジョシュア「……もう会ってくれないかと思ってた」

〇〇「そんなこと、絶対にありません」

激しい熱情を向けられ、驚きこそしたものの……

(嫌じゃ……なかった)

想いを改めて自覚し、私は彼をまっすぐに見つめる。

〇〇「私は、ジョシュアさんが好きだから」

すると、ジョシュアさんは優しげに目を細め……

ジョシュア「ありがとう」

すっと、優雅に腕を差し出す。

ジョシュア「虫がいい話かもしれないけど……錬成方法の手がかりを見つけにいこう」

〇〇「え……?」

ジョシュア「名誉挽回。君に格好いいところを見せたい」

〇〇「……はい!」

私は満面の笑みを浮かべ、彼の腕に手を絡ませた…-。

……

ジョシュアさんに連れられてやってきたのは、この国で有名な錬金術師さんの研究室だった。

研究室は薄暗く、暗い色をした液体がフラスコの中でコポコポと音を立てている。

(なんだか不気味……)

思わず、ぎゅっとジョシュアさんの腕を握ってしまうと……

ジョシュア「そんなに怖がらなくて大丈夫だよ」

錬金術師さんには聞こえないよう、こっそり耳打ちしてくれる。

錬金術師「おや……」

視線を机に戻すと、フラスコの中でチカチカと何かが発光し始めていた。

〇〇「これは…-」

錬金術師「また新しい反応だ。お客人がいるからかな?」

ジョシュア「どういうことですか?」

フラスコから目を離さないまま、錬金術師さんが口を開く。

錬金術師「この国の錬金術は繊細なんだよ。何かが違えば結果も違ってくる。 物質だけじゃあない。気温や場所、それにもしかしたら思いなんてのも……結果を左右する。 これは、私個人の考えだがね」

面白そうに笑う錬金術師さんの顔を見つめながら、ジョシュアさんは何かを考え込んでいるようだった。

ジョシュア「思い……」

すると…-。

??「ちょっとあんた! お客人ほっぽってまた研究たあ、失礼じゃないか!」

威勢のいい声と共に、しゃきしゃきとした女性が奥から姿を現す。

その女性は、どうやら錬金術師さんの奥さんのようだった。

錬金術師「か、彼らが見たいというから…-」

妻「すみませんねえ、この人昔っから研究ばっかりで……礼儀の一つも知らないったら。 結婚した後も、あたしのことだってそっちのけで。たまには労わってほしいもんですよ!」

あっけに取られた私とジョシュアさんはお互いの顔を見合わせる。

妻「ねえ、そう思いませんか? 王子様。女性は大切にするもんですよねえ?」

ジョシュア「ええ……」

ジョシュアさんは私を見て、苦笑いを浮かべたのだった…-。

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