桃花祭の宴、当日…-。
―――――
カイネ『あのね……桃花祭の宴で挨拶をすることになってるんだけど……。 その前に、〇〇さんと会いたいんだ』
―――――
(カイネ君はああ言っていたけど……)
約束の時間になっても、彼が来る気配はない。
(どうしたのかな? もうすぐ宴が始まる時間だけど……)
心配になり、探しに行こうとすると……
カイネ「〇〇さん、待たせちゃってごめんね!」
息を切らして駆けてきたカイネ君の格好を見て、目を見開く。
(えっ……?)
カイネ君の着ている服は乱れ、髪の毛もきちんと整えられていない。
〇〇「カイネ君、どうしたの!?」
心配になって顔を覗き込むと、カイネ君が私を安心させるように微笑む。
カイネ「こんな格好で、びっくりさせちゃったかな……。 心配かけてごめん。でも、ボクは大丈夫だから!」
(カイネ君……?)
カイネ「それより、行こう。もうすぐ桃花祭の宴が始まる」
〇〇「あれ? でも、用があったんじゃ……」
きっと準備で忙しいであろう宴の前に会う約束をした理由がわからず、私は首を傾げた。
カイネ「あ、それは……後で話すね」
言いにくそうに濁して、カイネ君が歩き出す。
耳が少し赤い彼の後ろ姿を、私は慌てて追いかけるのだった…-。