太陽7話 照れくさい約束

私達は野点に向かうため、薬師さんの薬房を後にすることにした。

薬師「狐雨については、少しお時間をくださいませ」

サキア「うん、本当にありがとう……得るものが、たくさんありました。 教えてもらったこと……国のみんなの、役に立てたと思います」

いつもよりも落ち着きのある声色が、私の耳を甘くくすぐる。

(どうして……今日はサキアといるとこんなにドキドキするんだろう)

薬師「茶会に出されます濃茶は、茶葉の栄養をとることができる素晴らしいものです。 是非、楽しんでいってください」

サキア「うん、ありがとう」

サキアと薬師さんがしっかりと握手を交わす。

(よかった。サキア、すごく満足そう)

サキアは薬にもなる毒を作りたいと、研究に没頭している。

(これからもこの関係が続いていくといいな)

そんな思いで彼らを見守っていると…-。

薬師「姫様も。また是非二人でいらしてください」

〇〇「ありがとうございます」

二人でまたこうしてここに来られたら……そう思うと胸が高鳴る。

サキアも同じ思いだったのか、少し照れ臭そうに微笑んでいた。

サキア「〇〇、行こう」

〇〇「あ……ありがとう」

あまりにも優雅に手を差し出され、私はほんの少し戸惑ってしまった。

サキア「? どうしたの……?」

〇〇「ううん! なんでもないよ」

サキア「……変な〇〇……」

ドキドキとうるさい鼓動を誤魔化すように笑顔を作って、私はその手を取ったのだった…-。

……

案内された会場は、真っ赤な毛せんが敷かれ、ところどころには日よけの野点傘が用意されていた。

(華やかだけど、落ち着いた雰囲気)

サキア「すごいね……これなら、本当に気軽そうで……嬉しいな」

初めての体験に心躍らせているのか、いつもはのんびりとした彼の声が弾んでいる。

〇〇「うん、そうだね」

彼の隣で美しい風景を一緒に楽しむ。

〇〇「私も、本格的なお茶会だったら……って、ちょっとだけ緊張してたから」

サキア「〇〇も?」

〇〇「うん。私もあまりお茶に詳しいわけじゃないし」

サキア「そう、なんだ……。 よかったー……」

つぶやきのような声が漏れて、思わずくすりと笑ってしまう。

〇〇「だから、サキアと一緒ですごく嬉しいよ」

サキア「そっか……」

幸せそうに笑うサキアに、また鼓動が少しうるさくなる。

(今日は、いろんなサキアの顔が見られて嬉しいな)

サキア「僕も、〇〇が一緒で……嬉しい。 うん……あなたがいると、なんでも……嬉しいし、楽しいよ……」

小さな声で紡がれる言葉に、幸せな心地になりながら……

再度柔らかに絡められた指先の温度を、静かに感じていた…-。

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