水たまりに浮かぶ木の葉が、水面に小さな波紋を作っている。
フォーマに楽しんでもらうため、何かできることはないかと考えた私は……
(フォーマに、おいしいものをプレゼントしよう)
あんぱんを試食した際に見せた彼の嬉しそうな表情が、頭をよぎる。
(あの顔をまた見たいな)
(でもあんぱんは、いっぱい買っていたし……)
フォーマ「そろそろ行こうか。もう一度…―」
(何をプレゼントすれば……)
フォーマ「ん……? ぼんやりして、どうしたんだ」
はっと顔を上げると、眉間に皺を寄せた彼がこちらを見ている。
○○「ご、ごめんね。ちょっと考え事をしてて。 ええと、なんの話だっけ……?」
フォーマ「ああ、またお茶を飲みたいと思って。明日、どうかな?」
○○「うん、もちろんいいよ」
私は、フォーマと穏やかな時間を過ごしたお茶会のことを思い返す。
(明日もフォーマに楽しく過ごしてもらいたいな)
(そのためには……)
フォーマ「……」
明日のお茶会を素敵なものにしたいと、あれこれ考えを巡らせながら彼の隣を歩く。
そのせいで彼に複雑な想いを抱かせてしまったことに、この時の私は気づいていなかった…―。