太陽最終話 呪いも晴らす明るさ

ハルが無事に薬を持ち帰ってから数日の時が経ち、私の体調もすっかり良くなった頃…―。

ハルに誘われて、巨大生物の住まうアヴァロンの森へ訪れることになった。

木々の合間からは心地の良い木漏れ日が差し込んでいる。

ハルは私の前で曲刀を振り回すと、森の奥に視線をやった。

ハルディーン「よし!始めるか!! 危ないから、シュガーはここで見ててくれ」

○○「うん、がんばってね、ハル」

(狩猟に行こうって言われたから、つい頷いたけど……)

(ボルケウスを倒せるくらいだから、大丈夫かな……?)

少しだけ不安な気持ちで、彼の姿を見守る。

ハルは五感を使って、注意深く森の奥を眺めているようだけれど…―。

ハルディーン「見つけたっ!!」

そう口にするや矢継ぎ早に駆け出した。

どうやらハルの獲物は、巨木の根元にいる大型の鳥類らしい。

ハルディーン「先手必勝ってな!」

森の中を風のように駆け抜けて――

 

ハルディーン「はああぁぁぁっ!!」

黒の一閃が振り下された。

(すごい!速すぎてよく見えなかった)

ハルディーン「外れたっ、もういっちょ!」

すんでのところでハルの初撃をかわしたモンスターは、驚いてハルに攻撃を仕掛ける。

○○「ハル……っ!」

ハルディーン「平気平気、ちゃんと見てろよ!シュガー!!」

次の瞬間には、もう片方の手にある黒い刀身がモンスターを襲う。

その時…―。

○○「ハル、後ろ!」

ハルディーン「わかってる!」

ハルの背後から近付いてきた彼の身長ほどある4本足のモンスターが、鋭い爪をハルに振り下した。

ハルディーン「おおっと……けど足元隙だらけだぜ!」

ハルは華麗にモンスターの攻撃をいなした。

かと思えば、何故かモンスターが悲鳴を上げて地面に倒れ込む。

(え!?今のいつ倒したの?)

(本当に早い……ハルがこんなに強いなんて)

ハルディーン「ははっ……いい剣だ、気に入った!!」

ハルは目を輝かせて、妖刀と呼ばれた剣の柄に唇を押しつける。

ハルディーン「な、シュガー!オレ、カッコイイだろ!?」

剣を振ってアピールするハルに、私は苦笑しながらも大きく頷いたのだった。

昼過ぎになり、狩りを終えたハルは獲物を持ってこちらに戻ってきた。

といっても、巨大生物を運べるわけはなく、ハルの手にあるのは手頃のサイズの鳥らしきモンスターだ。

ハルディーン「いいだろ?オレの新しい相棒!コイツと世界を回るのが、今から楽しみだ! 呪われてるとか言われてたけど、オレは気に入ったね!」

彼は得意げに手の中で二本の曲刀を曲芸師のように扱う。

(でも……いろいろあったし、やっぱり心配だな)

ハルディーン「ん?どうしたんだよ、そんな顔、して」

○○「え、だって……」

ハルディーン「隙ありっ!」

○○「っ!?」

唇に柔らかいものが押しつけられる感触に、心臓が大きく高鳴った。

ハルディーン「ははっ、ほんとオマエすぐ赤くなるよな!そういうところ可愛いけど」

ハルは優しそうに目を細めて、私を抱き寄せる。

ハルディーン「オマエの考えてることは大体わかる。けど心配するな」

彼の長い指先の背が、私の頬を撫でる。

ハルディーン「前にも言っただろ?オレがオマエを置いて死ぬはずないって」

○○「うん……」

お互いの顔を見て、私達は笑い合う。

(明るい人……)

(ハルが相手じゃ、呪いの方がお手上げみたい……)

その時、空から射し込んだ木漏れ日がハルの腰にある剣を照らした。

しかし黒い剣の輝きには、もう何ひとつ恐ろしさは感じなかった…―。

おわり。

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