太陽7話 新たな挑戦

ジェット「決めたぞ、俺は。自分の進みたい道を……」

そう言って、彼が私に見せたものは…―。

○○「これって……!」

その資料は、主役俳優として出演依頼を受けた映画のものだった。

(ジェットさんがスタントとしてじゃなく、俳優として……)

○○「俳優としての出演を、選んだんですね……」

思わず顔を上げて、窓際に立つ彼を見る。

ジェット「……ああ、ダブルとしてじゃなく、俺っていう一人のアクション俳優としてな」

○○「……!」

今までに見たことがないような、ジェットさんの自信あふれる表情に、胸が熱くなる。

○○「けど、どうしてですか?」

ーーーーー

ジェット「俺、本当は自分の演技が好きになれねーんだ」

ーーーーー

彼が夜の街で言ったことを思い出す。

ジェット「勘違いはすんな、確かにスタントの仕事に誇りは持ってる。けど、自分の演技が気にくわないからって理由でダブルばっかこなしてんのは……単なる逃げで、ダセーだろ。だからこれからは演技もこなせるアクションスターの道を目指すことに決めた!」

○○「ジェットさん……」

私を正面から見る彼の瞳には、もうひとつの迷いもない。

新しい方向へ向かおうとする強い意志だけがそこにある。

(かっこいいな……)

初めてスタジオで彼の撮影を見た時のように……私の胸の奥から、熱が湧き上がってくる。

ジェット「○○」

○○「は、はい」

いきなり、はっきりとした声で名前を呼ばれて、つい姿勢を正した。

ジェットさんが私の前に一歩踏み出し、私に手を伸ばす。

指先が触れそうで触れない距離が、なんだかもどかしくて……

ジェット「俺がこの先、アクション俳優としての道を進むこと、お前は応援してくれるか?」

○○「はい、もちろんです!」

彼を心から応援したくて、私は大きな声で返事をした。

ジェット「そうかよ、ホントお前、嬉しいこと言ってくれるよな。ありがとな……」

○○「あ……っ」

次の瞬間、彼の腕に私の体は包まれた。

広い胸の中心で、彼の心臓の音が聞こえてくる。

その音は私のものと同じで、少しだけ早くて……

私は胸に生まれたときめきを抑えられなかった…―。

……

こうしてジェットさんはアクション俳優への道を踏み出した。

早々に映画の撮影もスタートして…―。

そして今日この日。

私はアクション俳優としての彼の撮影現場に、初めて見学に訪れた。

監督「ジェット、そこはもっと必死な表情で真に迫った演技をしてくれ!」

ジェット「……はいっ!!」

ジェットさんは、体当たりで初めての主役映画に臨んでいる。

(頑張って、ジェットさん)

彼の全身全霊をかけた熱い演技は、私を心から夢中にさせた…―。

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