太陽9話 突然の誘い

翌日、中天に差し掛かった太陽の光が窓辺から差し込む頃…-。

イヌイさんが私の部屋を訪れた。

イヌイ「出かけるぞ」

突然の誘いに、思わず目を見開く。

○○「稽古はいいんですか?」

イヌイ「昨日、完璧に合わせてきた。 まだ調整したい所はあるけど、あいつらも掴めたみたいだからな。 あとは個々に任せた方が、いいもんになる」

○○「そうなんですか。よかったです」

(さすがイヌイさんだな)

そう思って彼を見上げると…ー。

イヌイ「客人であるお前をいつまでも放置しておくわけにはいかない」

思いがけず優しいまなざしを向けられて心臓が跳ねる。

イヌイ「それに、この俺に偉そうなこと言ってくれた礼もしないとな」

(あ……)

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○○「イヌイさんの三味線、本当に素敵だと思います。力強くて、華やかで……。 だから、皆さんの目指すべき姿を見せてあげてください。 完璧な王子、なんですよね?」

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○○「……昨日は出過ぎたことを言ってしまって」

頭を下げた私に、イヌイさんが微笑む。

イヌイ「怒ってるなんて言ってないだろ。俺は礼をしたいって言ったんだけど。 まあ、お前にあんなこと言われたせいで昨日は全員ほとんど寝ずに稽古したけどな」

○○「……!すみません、私……」

慌てる私を見て、イヌイさんが楽しそうに笑う。

イヌイ「冗談だよ。お前のおかげだって言ってんの。ほら、行くぞ」

返事も聞かず、イヌイさんは私の手を掴んで歩き出す。

繋がれた手の温もりに、私は頬が熱くなるのを感じていた…-。

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