太陽SS 繋いだ手の温もり

夕陽が辺りを茜色に染め上げていく…-。

『福札』という新たな試みを取り入れた縁包みの販売は大盛況に終わり、俺達は城に庭へと戻っていた。

(忙しかったのも一段落したし……ちゃんと伝えないとね)

縁包みの販売が忙しかったのもあり、〇〇とゆっくり過ごす時間がなかった俺は、彼女にまだ伝えられていなかった気持ちを話すことにした。

ヒノト「ねえ、〇〇……俺、まだ君に言ってないことがあるんだ」

そう言って俺は〇〇を後ろから抱きしめて……

ヒノト「俺が王子としてちゃんとしようって思えたのは、実は君のおかげなんだよ」

〇〇「私の……?」

〇〇は驚いた様子で目を瞬かせる。

ヒノト「今までは実力さえあれば男にどう思われてもよかったけど、君を好きになってから考え方が変わった。 君が目を離せなくなるくらいいい男でいたいし、君の隣に立つにふさわしい男でありたい」

(そうしたら、ずっと一緒にいられるでしょ?)

ヒノト「だから、今まで以上に公務をしっかりやるし、王子としての責任を全うする」

気持ちを込めて決意を語れば、彼女を抱きしめる腕に自然と力が入った。

ヒノト「俺、今年は君のことを今までよりもっと大切にする。 君にもらった以上の気持ちを返したいんだ。俺の愛をたくさん伝えるから、覚悟しててね?」

(言葉だけでは伝わりきらない想いも……全部伝えるから)

俺はゆっくりと腕を解き、〇〇を自分の方に向き直らせる。

案の定、視線が絡み合うと彼女は頬を赤らめた。

ヒノト「……やっぱり、かわいいなあ。君が愛おしくて、仕方ない」

〇〇「……っ」

(その照れた表情も、全部俺だけに向けていてほしいんだ。だから……)

ヒノト「今年もたくさん一緒にいようね、〇〇」

(ううん、今年だけじゃない)

(来年も再来年もずっと一緒にいられるように……俺も頑張るから)

ささやかな誓いを込めて、俺は〇〇に優しく口づけた…-。

……

次の日…-。

休暇をもらった俺は、明日この国を発つ〇〇と街を歩いていた。

もうすぐ離れてしまうことが寂しくて、彼女の肩を引き寄せようとすると……

〇〇「あ……」

〇〇が小さく声を上げ、足を止める。

彼女の視線を追うと、つい先日見かけた男達の姿があった。

―――――

男2「未の一族の……女好きで有名な?」

男1「しっ! 聞こえるだろ」

―――――

(〇〇のことだから……あの時のこと、まだ気にしてるんだろうな)

以前、俺が彼らからあまりよく言われていなかったことを彼女は心配していた。

(本当に気にしてないから、そんなに心配しなくていいのに)

彼女を心配させまいと声をかけようとした時…-。

男2「今年の縁包み、実は俺も買ったんだ。福札ってやつ、面白そうだなって思って」

男1「あれってヒノト王子が考えたんだろ? ああ見えて、意外と皆のことも考えてるのかもな」

男2「そうだな。俺、少し見直したかも」

(へえ……あれから随分と見方が変わったな)

(まあ、男に褒められてもそんなに嬉しいとは思わないんだけど)

そんなことを考えながら〇〇の方へと目を向ける。

すると、先ほどのやり取りが聞こえていたのか彼女は嬉しそうな表情をしていた。

〇〇「よかった……」

かわいらしい笑顔を向ける彼女に、男達が言っていたことには興味がないとは言えなくて……

ヒノト「……縁包みの効果が出たのかな」

俺は茶化すように話題を振る。

〇〇「はい! きっとそうだと思います。 ヒノトさんが国のこともしっかり考えてくれてるって伝わって、本当によかったです」

ヒノト「〇〇……」

愛しい想いが沸き上がり、言葉に詰まる。

(困ったな……我慢しようと思ってたのに)

〇〇「あ、すみません。偉そうなことを言ってしまって……」

ヒノト「ううん、そうじゃない。むしろ……」

俺は思わず〇〇を抱きしめていた。

〇〇「ヒ、ヒノトさん……?」

ヒノト「君があまりにもかわいいことを言ってくれるから……つい、ね」

腕を緩めて顔を覗き込めば、彼女が頬を赤らめる。

(本当にかわいいなあ、〇〇は)

口元が緩んでしまうのを自覚しつつ、手を握り直して指を絡める。

(大切にしていかないとね。君も……この温かくて優しい手も)

はにかむ彼女への溢れる愛情を感じながら……

去年よりずっと彼女のことを大切にしようと、俺は改めて心に誓ったのだった…-。

おわり。

<<太陽最終話||月覚醒へ>>



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする