太陽SS 静かな誓い

継母の手により、森が焼き討ちにあったその日の夜…―。

ゲイリー「もう何もしないと約束する……、だから、このままこうして、眠ってもいいか……?」

○○「……はい」

○○ときつく抱き合いながら眠りについた俺は、深夜にふと目を覚ました後、外の空気を吸うため小屋の外で佇んでいた。

ゲイリー「……」

(……俺の力が及ばないばかりに……)

森を吹き抜ける風には、消化を終えてしばらく経った今でも焦げたような臭いが混ざり……

俺は火事に巻き込まれ命を落としてしまった部下や森の動物達に、両手を組んで祈りを捧げる。

(本当にすまない。おまえ達には、謝っても謝りきれない)

(……それに……)

目の前で組んでいた手を解き、俺は小屋へと視線を向ける。

(○○。あの時、俺は……)

ゲイリー「呪いに飲み込まれ、俺が俺でなくなる前に……。 「……お前の暖かさを感じておきたい」

○○「ゲイリー……さん? っ!? やっ……ゲイリーさん……っ! やめ……!!」

(……本当にどうかしていた。大切な女に、あんなこと……)

激しい後悔の念に襲われた俺は、思わずその場でうなだれる。

(まだ呪いの力に飲み込まれていないとはいえ)

(あれでは、屈したも同然だ……)

静まり返った森には、遠くで鳴くフクロウの声と、風に揺れる葉の音だけが微かに響き……

俺は静寂の中、自分の弱い心を責め続ける。

その時だった。

ゲイリー「……っ!」

体に、忌まわしい呪いの予兆を感じる。

(く……落ち着け……)

俺は不甲斐ない自分に抱いた憎しみの感情を、深く呼吸をすることでどうにか抑え込む。

同時に、呪いの予兆も静かに去っていった。

ゲイリー「……ふう……」

(どうにか抑え込むことはできたが……)

(いつまでもこの闇の中で思い悩むのは危険かもしれないな)

ゲイリー「……戻る、か」

未だわずかに残る憎しみの感情を振り払った後、彼女を起こしてしまわないよう、そっと小屋の中へと戻る。

するとそこには、安らかな寝息を立てる○○の姿があった。

(……よく寝ているな)

彼女の隣で横になった後、どこか幸せそうな寝顔を見つめる。

(……あの時、無理矢理求めようとしてしまった俺を)

(おまえはこんなにも無防備に信じてくれるのか)

そっと頭を撫でると、指先から優しい温もりが伝わり……

その温もりに呼応するかのように、俺の心に少しずつ少しずつ優しい気持ちがあふれてきた。

(本当に、不思議な女だ)

(いつも俺の心に安らぎを与え、時に激しくかき乱す……)

そう思った瞬間、彼女を乱暴に求めてしまった時のことが頭を過ぎり、胸の奥に鈍い痛みが走る。

(俺は……)

なおも幸せそうに眠る○○を起こさないようにそっと体を寄せ、慈しむように柔らかな髪を撫でる。

(……俺は二度と、あんな形でおまえを求めたりしない)

(必ず継母に……この忌々しい呪いに打ち勝って)

(次におまえを求める時は、純粋に……おまえを愛する一人の男として求めたいと思う)

そうして静かに最愛の彼女へと誓いを立てた後……

俺は彼女の優しい温もりに誘われるかのように、再び眠りの世界へと落ちていったのだった…―。

おわり

<<太陽最終話||月覚醒へ>>



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする