太陽最終話 目眩の朝に

翌朝…―。

私は、朝の白い光を浴びながら、城の裏の森を散歩していた。

(もしかして、昨日みたいにフリュス君に会えたりしないかな)

胸に自然と、淡い期待が宿る。

すると…-。

フリュス「……また見つかった」

上から突然に声がして、見上げると木の梢にフリュス君が寝そべっていた。 

フリュス君のお腹の上では、グレーの小さな子猫がゴロゴロと喉を鳴らしている。

〇〇「見つけちゃった」

彼に会えたことが嬉しくて、笑顔がこぼれた。

フリュス「でも、今日は駄目だよ。僕だって忙しいんだから」

そう言って、フリュス君は風に乗って飛んで行ってしまう。

置いていかれた子猫が、不満そうにニャーと鳴いた。

(ちょっと、しつこく思われてしまったかな……)

悲しい気持ちを抱え、私はとぼとぼと歩きはじめた。

やがて森を抜け、気がつくと昨日と同じ花畑にやってきていた。

フリュス「……また?」

〇〇「え……!?」

花の間から、半ばあきれたような声が聞こえる。

声がする方を見やると、花に埋もれるように寝そべっているフリュス君を見つけた。

〇〇「あ……」

(今度は、偶然なんだけど……)

あわてて背を向けようとすると、

フリュス「まあ、いいか」

フリュス君は、小さくため息をついた。

フリュス「さっき空から見てたんだけど、あんな寂しそうな顔されたら何か悪いことしたみたいな気持ちになる」

〇〇「え……」

突然に手を引かれる。

次の瞬間、一瞬風に抱かれ……私は、フリュス君の隣の柔らかな花の上に横になっていた。

フリュス「いつの間に、そんなに僕のこと好きになったの?」

〇〇「え……?」

すぐ隣から、フリュス君が笑いかけてくる。

胸がトクンと跳ねて、頬が熱をもっていくのがわかった。

(ほんとだ……いつからだろう)

驚きと恥じらいに、何度も瞬きを繰り返す。

そんな私を見て微笑むと、フリュス君はふわりと風を呼んだ。

〇〇「あ……」

花吹雪が、私たちを取り囲む…-。

(行ってしまうのかな?)

(待って……)

そう言いたいけれど……私は何とかその言葉を飲み込む。

フリュス君が、ゆっくりと私に手を差し伸べた。

フリュス「連れていってあげる。 どこでも、君の好きな所に」

〇〇「フリュス君……」

ゆっくりと、彼の手を握る。

すると…-。

フリュス「さあ、行こう」

風が、私を攫う。

目眩がするほどに美しい花吹雪の中……

(フリュス君となら、どこにでも……)

私は、ときめく胸をそっと押さえた…-。

おわり。

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