太陽SS 初めての気持ち

木の梢に寝そべりながら、僕はぼんやりと空を眺める。

(僕、どうしちゃったんだろう……)

(昨日から〇〇ちゃんのことばかり考えちゃう)

フリュス「はあ~……」

胸のもやもやを吐き出すように、深いため息を吐く。

(それに……)

フリュス「いたたた……っ」

(〇〇ちゃんのことを考えると、胸の奥がぎゅっと痛くなる)

(この気持ちって……)

フリュス「はあ~……」

〇〇ちゃんのことを考えては、ため息が出て、胸の奥がぎゅっと痛くなる……

僕は、さっきからこんなことばかり繰り返している。

猫「にゃ~」

お腹の上で寝ていた子猫が、心配そうに僕を見上げた。

フリュス「心配してくれてるの? ありがとう」

(そうだ、楽しいことを考えてみよう!)

(楽しいことを考えれば、ため息も胸の痛みも消えるはずだよね!)

僕は、一生懸命楽しいことを考えてみる。

(風に乗った〇〇ちゃん、楽しそうだったな……)

(〇〇ちゃん、いちごソーダをおいしそうに飲んでたなぁ)

(〇〇ちゃんが……)

フリュス「って、僕、結局〇〇ちゃんのことばかり考えてる!?」

胸の奥が、またぎゅっと痛くなる。

フリュス「あいたたたた……」

(だけど……)

胸を押さえながら、澄んだ青空を見上げる。

(本当は気づいているんだ、自分の気持ち)

(でも、その気持ちを認めたら……)

(僕はどうやって〇〇ちゃんと向き合えばいいかわからなくなる……!)

頬がじわじわと熱くなり始めた、その時…-。

(あっ……)

僕は、散歩をしている〇〇ちゃんの姿を見つけてしまった。

フリュス「……また見つかった」

〇〇「見つけちゃった」

〇〇ちゃんの満面の笑みを見た瞬間、僕の胸はさらにぎゅっと強く締めつけられた。

(苦しい……)

フリュス「でも、今日は駄目だよ。僕だって忙しいんだから」

〇〇ちゃんと、どうやって話をすればいいかわからなくなってしまった僕は、思わず風に飛び乗って彼女の傍から離れた。

(……ちょっと冷たかったかな)

空から見下ろすと、〇〇ちゃんは悲しそうにまつ毛を伏せていて……

フリュス「……っ」

いつもは優しいはずの風が、怒っているように強く吹きつけた。

フリュス「はあ~……」

逃げるようにやって来た花畑で、僕は寝そべって空を仰いだ。

(〇〇ちゃん、寂しそうな顔してたな……)

フリュス「……あー、もう!」

(こんな気持ち初めてだから、どうしていいかわからないよ!)

その時…-。

フリュス「あっ……」

こちらへとやってくる〇〇ちゃんに気づいた僕は、思わず声を上げてしまう。

(落ち着け、僕……)

寝ころんだまま心を落ち着けた後、僕は何事もなかったかのように彼女へと声をかける。

フリュス「……また?」

〇〇「あ……」

〇〇ちゃんは、こちらを見るなり慌てたように踵を返そうとして……

フリュス「まあ、いいか」

僕は彼女を呼び止めるように声をかける。

(もう、認めちゃおう……)

フリュス「さっき空から見てたんだけどさ、あんな寂しそうな顔されたら何か悪いことしたみたいな気持ちになる」

(君が寂しそうな顔したら、僕まで悲しくなる)

(逆に、君が笑顔になったら僕は嬉しい)

(この気持ちはただ一つ……僕は〇〇ちゃんが好きなんだ)

そう認めた瞬間、胸の痛みが少しだけ和らいだ。

(でも、僕は君にどうやって気持ちを表現していいかわからない)

(だから……)

僕は、風の力を借りて〇〇ちゃんを引き寄せる。

フリュス「いつの間に、そんなに僕のこと好きになったの?」

〇〇「え……?」

(こんなアプローチしかできない僕を許して……)

優しい風が僕の頬を撫でる。

その風は、頑張ったねと僕を褒めてくれているような気がした…-。

おわり。

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