太陽最終話 皆の力を一つに

真っ黒な闇に包まれ、フリュス君がもがき苦しむ。

フリュス「……っ!」

ドクドクと心臓が大きな音を立て、慌ててフリュス君に駆け寄ろうとした、その時…-。

(え……!?)

突如フリュス君の姿が消え、私は目を見開く。

〇〇「フリュス君!?」

『ふははは……!』

忽然とフリュス君が姿を消し、私は呆然と立ち尽くす。

闇の精霊の高笑いが響く森で途方に暮れていると……

『……っ!?』

強い突風が吹き抜け、闇が広がって薄まる。

??「勝ち誇るのは、まだ早いんじゃない?」

(今の声って……)

乱れた髪を押さえながら、ハッと後ろを振り返ると……

エレメンタル・タイザーを手に、得意げな笑みを浮かべるフリュス君の姿があった。

〇〇「フリュス君!」

『……何!?』

フリュス「だから言ったのに。僕がふわふわしてるからって……油断しちゃ駄目だよ!」

(これって、もしかして)

―――――

フリュス『驚いた? 今ね、蜃気楼を作ってみたんだ。 初めてやってみたけど、大成功だね』

―――――

彼が城で蜃気楼を作る練習をしていたことを思い出す。

フリュス「皆、ちょっと力を貸して!」

フリュス君がエレメンタル・タイザーに呼びかけると、その声に呼応するように赤や青の光が放たれる。

(あれって、フォイアさんやシャオさんの?)

精霊の国の王子達……エレメンタル・レンジャーの力を呼び出せるという端末を掲げ、フリュス君が闇の精霊を見据えた。

フリュス「僕と、皆の力を集めて……今ここに! 風よ! 強大な渦となりて闇を葬れ!!」

エレメンタル・タイザーにより増幅した強い力をはらんだ竜巻が、闇の精霊を襲う。

『ぐっ……この程度の力……!』

フリュス「これは僕達、皆の力! 正義の力だ!!」

竜巻は稲妻を光らせ豪雨を巻き起こし、黒い闇へ攻撃を与える。

フリュス「これで、とどめだ!!」

激しい雨音と共に、黒い闇が竜巻に巻き込まれ……

『ぐっ、ああああ……!!』

闇のすべてを絡め取り、竜巻は上空へと消えていった…-。

(……終わっ、た……?)

力が抜けて、私はその場に座り込んでしまう。

フリュス「ふう……危ないところだったなー」

清々しい笑顔を見せるフリュス君を見上げる。

フリュス「空の向こうまで飛ばして散らしちゃったから、もう戻ってこられないよ。 僕も、やる時はやるでしょ?」

差し出された手を取るけれど、足に力が入らず立ち上がれない。

フリュス「……〇〇ちゃん、どうしたの?」

〇〇「……いろいろありすぎて、腰が抜けた……かも」

フリュス「あはは!」

フリュス君が笑いながら、私の前にしゃがんだ。

目線を合わせて、じっと私を見つめる。

フリュス「巻き込んじゃってごめんね。でも、よかった……君に何もなくて」

〇〇「ううん……守ってくれて、ありがとう」

私も笑顔でお礼を言うと……

〇〇「……っ!?」

フリュス君がさっと私を横抱きにした。

フリュス「さ、帰ろっか」

〇〇「フリュス君、これ……恥ずかしい」

フリュス「えー?」

楽しげに笑うフリュス君が、ハッと何かに気づいたように私を見る。

フリュス「あ、なんかやっとヒーロー感あるかも。 悪を倒して、お姫様と一緒に凱旋する感じ?」

〇〇「もう……」

恥ずかしく思いながらも嬉しくて……

私はそっと、フリュス君の首に腕を回した…-。

……

その間…-。

風に乗り城へ戻ってくると、フリュス君は私を部屋まで送り届けてくれた。

フリュス「じゃあ、ちょっと出かけてくるね」

〇〇「え!?」

私を降ろしてすぐにまた出かけようとする彼に、思わず声を上げてしまう。

(何かまだ心配なことがあるのかな?)

不安な気持ちが顔に出てしまったのか、フリュス君が眉尻を下げる。

フリュス「ごめん。皆このことを知らせてこなきゃと思って」

〇〇「あ、そうだよね。うん……行って、皆のことを安心させてあげて?」

(そうだった。もう皆が怯えていた闇の力は消えたんだから……)

そう思って、彼を送り出そうとするけれど……

フリュス「……ずるいなー」

〇〇「え?」

困ったように笑ったフリュス君が、私の手を伸ばし……

(……!)

不意に抱き寄せられたかと思えば、頬へ柔らかな唇が押しあてられた。

フリュス「そんな寂しそうな顔されたら、置いていけない」

〇〇「……ごめん」

(どうしよう。頬が熱い……)

フリュス「謝らなくていいよ。嬉しいから」

〇〇「え……?」

フリュス「好きな子が自分と一緒にいたいって思ってくれてるのを、喜ばない男はいないんじゃない?」

その言葉に、甘く熱く鼓動が跳ねた。

〇〇「好きな子って……」

フリュス「さて、誰でしょう?」

〇〇「……!」

フリュス君はじっと私のことを見つめ、含みのある笑みを浮かべる。

(ずるいのは、フリュス君の方だよ。こんな時ばかり、大人びていて……)

視線を外すことができず、熱い頬で彼を見つめていると、くすりと笑った彼のキスが、優しく私の唇を奪ったのだった…-。

おわり。

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