太陽最終話 エンジェル・スキン

コライユくんの、悲痛な叫び声が響き渡って……

騒ぎを聞き、駆けつけた人々が中年の男性を捕らえる。

コライユ「皆! すぐにこの珊瑚達と魚達を保護して! 早くしないと……被害が広がってしまうっ」

コライユくんの真剣な表情を見て、皆の表情もがらりと変わる。

(私も……何かできることを!)

〇〇「コライユくん、私に何か手伝えることは……!?」

コライユ「〇〇さん……ありがとう! じゃあ、魚達を保護するために海水を…-」

こうして、その日は一日中、懸命な処置を続けた…-。

その数日後。

どうにか問題は落ち着き、コライユくんが再び珊瑚礁を見に行こうと誘ってくれた。

コライユ「あの時はゆっくり見られなかったからね」

〇〇「……そうだね」

(コライユくんに笑顔が戻ってよかった)

珊瑚礁に着くと、あの時はなかった小さくかわいらしい海底船があった。

〇〇「これは?」

コライユ「へへ、珊瑚礁を楽しんでもらえるように開発した海底船だよ。 ほら、乗って乗って!」

コライユくんに手を引かれて、海底船にそっと乗り込む。

〇〇「わぁ……中から見ると、また違う景色に見えるね」

コライユ「これだけじゃないんだよ!」

コライユくんが嬉しそうに言うと……船がゆっくりと動き始めた。

〇〇「何……?」

コライユ「ふふ、見てて」

コライユくんの視線の先をたどっていると、突然船から音楽が流れ出して……

その音につられるように魚達が珊瑚の周りを踊るように泳ぎ出す。

〇〇「わぁ! 素敵!」

水面へと上がっていく小さな泡に、光を反射して輝く珊瑚。

その周りをゆらゆらと美しく泳ぐ魚達。

(綺麗……こんな景色、初めて)

心の中で温かさが膨らんで、胸がいっぱいになってしまう。

コライユ「この間の珊瑚達や魚達もね、元気になったんだよ!」

コライユくんは安心したように言うと、幸せそうな笑顔を浮かべた。

コライユ「君が一緒に頑張ってくれたおかげだよ」

〇〇「ううん、私なんて……でも、本当によかった」

コライユくんの笑顔につられるように、私もにっこりと微笑む。

優しい時間の中で、私達は柔らかな色の海をじっと見つめる。

コライユ「……あ、あれ見て!」

〇〇「あれ?」

コライユ「うん、あの淡いピンク色をした珊瑚!」

コライユくんが私の頭にそっと頬を寄せて、ガラスの外を指差した。

高鳴る胸を押さえながら、その指先を目で追う。

〇〇「わぁ……綺麗な色。かわいいね」

コライユ「うん、あれは桃珊瑚っていうんだよ」

落ち着いた色の珊瑚が並ぶ中で、ひときわ目を引く淡い桃色。

コライユ「桃珊瑚は、エンジェル・スキンとも呼ばれてるんだ」

〇〇「エンジェル・スキン……?」

(エンジェル、だなんて、なんだかコライユくんのことみたい)

そっとコライユくんの横顔を覗き見て、そんなことを考えていると……

コライユくんもそっとこちらに顔を向けた。

コライユ「エンジェル、だなんて……まるで〇〇さんのことみたいだね!」

〇〇「そ、そんなことないよ!」

コライユ「ううん、本当だよ。だって、〇〇さんって天使みたいにかわいいもん」

心臓の音が、コライユくんに聞こえてしまいそうに大きくなる。

コライユ「ほら、今だってほっぺが桃色で、すっごくかわいい。 本当にありがとう、一緒に珊瑚や魚を守ってくれて…―」

海中の光をすべて集めるみたいに煌めくコライユくんの瞳に見つめられると……

その澄んだ水色に、吸い込まれそうになってしまうのだった…-。

おわり。

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