太陽9話 戻る時間

沈みゆく朝陽……

西から薄暗い闇が森に迫り、煌々とした斜陽の光が私達を包み込む。

チェシャ猫「ちょっと……待ってて」

チェシャ猫は、胸の懐中時計を難しい顔でいじっている。

チェシャ猫「ふぅ~、これで……よしっと」

〇〇「チェシャ猫……?」

チェシャ猫「時間を戻すよ。 ちょっと、いや、しばらく……時間がどんどん変化するから、目をつむってた方がいいかも」

そう言って彼は、私の肩を抱き寄せた。

〇〇「あ……!」

チェシャ猫の言う通り、明るかった森に夕闇が迫る。

そして今度は、急速に夜へと時が移る……

……

(すごいスピードで時間がもとに戻っていく……)

そしてようやく、時が落ちつくと……

〇〇「ここが、さっきの森……!?」

チェシャ猫「うん、そうだよ」

先ほどまでの静寂な森は跡形もなく、辺りは人の行き交う街へと変化している。

〇〇「これが、本当のこの国の姿……?」

チェシャ猫「うん、昔と何もかも、変わっちゃったからね……。 これじゃあさすがにアリスでも、何も思い出せないでしょ?」

(確かに、私の知ってるおとぎ話の『アリス』の国とも……かけ離れている感じがする)

チェシャ猫「……」

呆然とする私の頬を撫でて、チェシャ猫は寂しげに微笑んだ…ー。

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