太陽7話 姫君へのチョコレート

幸せな思い出に浸った後、リカさんに連れてこられた場所は…-。

〇〇「ここも、ショコルーテが出しているお店なんですか?」

リカ「そう」

店はチョコレートショップというよりも、洗練された服飾店のようで……

その高貴な雰囲気に、知らず背筋が伸びてしまう。

リカ「そんな気張らなくてもいいって。オーナーがちょっとこだわり性なだけだから」

〇〇「はい……」

リカ「まあだからこそ、いいチョコレートがここに並んでる」

リカさんの言う通り、店内には定番のものからワールドサロンのために用意された特別なものまで……

たくさんのチョコレートが並んでいた。

〇〇「どれも綺麗……」

いろいろな形や色をしたチョコレートに、目が釘づけになる。

私はリカさんに案内され、胸を弾ませながら店内を進んでいった。

(あ……)

ふと、あるチョコレートに目を引かれ、私は思わず立ち止まる。

リカ「気に入った?」

そんな私の様子に、リカさんもどこか嬉しそうに目を細めた。

リカ「それ、新作なんだよ。お前に食べてもらいたくて、持ってきた」

リカさんがワールドサロンに持ってきたチョコレートは、まるで宝石のような輝きを放っていた。

(これ、本当にチョコレートなんだよね? すごく綺麗……)

そのチョコレートから目が離せなくなり、思わず見入ってしまう。

リカ「まあその顔見たら、感想は聞かなくてもわかるけど」

〇〇「はい……どれも綺麗で、食べるのがもったいないです」

リカ「そう言うだろうなって思ったけど、食べてもらわないと困る」

リカさんはふっと笑みを浮かべ、ディスプレイに視線を落とした。

その視線を追うと、今度は色とりどりのチョコレートが視界に飛び込んできて……

〇〇「こっちのものは…-」

リカ「いいのに気づいたな。それは今まで交流した国をイメージしたチョコレートだ。 もちろん、お前と一緒に行ったとこもな」

〇〇「これは、四季の国……こっちは、こよみの国ですね」

リカ「そうそう。こっちはアンキュラで、それが紅茶の国。宝石の国もある」

〇〇「どれも素敵ですね。でも、アンキュラのチョコレートだけすごくシンプルなような……」

他のものとはちょっと違う、無骨な見た目のチョコレートを、私はついまじまじと見つめてしまう。

リカ「ほら、アンキュラの奴らって、男気がある感じの印象が強くてさ。 しかもそれ、塩チョコだから」

〇〇「塩って……海だから?」

リカ「そう。単純だろ? でも、その塩はアンキュラで作ったものを取り寄せたんだ」

〇〇「そうなんですね」

目には見えないけれど、そこにリカさんのこだわりを強く感じて、妙に胸が熱くなった。

(リカさんの気持ちが、胸に響いてくる)

(それだけ、私達の距離が近づいたってことなのかな)

〇〇「本当に……どれも、すごく素敵です」

リカ「ありがと。でも、これだけじゃない。まだ大事なとっておきがある」

リカさんはそう言うと、私に銀製の蓋で閉じられたトレイを差し出した。

リカ「開けて」

ゆっくりとその蓋を開けると…-。

そこには、薔薇を模したチョコレートが咲いていた。

(薔薇……ヴィラスティン? ブルメリアかな?)

リカ「……お前のために、新しく用意した」

〇〇「私のために……?」

その言葉が胸に甘く響き、もう一度目の前の薔薇に視線を落とす。

美しく繊細なチョコレートから、リカさんの想いが伝わってくるようで……

(ドキドキする……)

気恥ずかしさを誤魔化したくて、私はそっと息を吐き出すのだった…-。

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