太陽SS キミの笑顔を守る

夜の訪れを示すように、星々が煌めく頃……

オレは、彼女を魔術の国のパビリオンがある島に招待した。

〇〇「すごく賑やかだね」

魔術のショーを見ながら、彼女が柔らかな笑顔を浮かべる。

(よかった……〇〇ちゃんが元気になって)

(やっぱり、キミには笑顔が一番似合う)

部屋にいる彼女に会いに行った時、心細そうな様子がすぐにわかった。

(すぐにわかるよ……)

(だってオレはずっとキミのことみてきたんだし、それに…-)

心配かけまいと笑顔を作るその様子が、以前のオレを彷彿させた。

(オレも……あんな感じで無理に笑顔作ってた、よね)

(でも、それを変えてくれたのは〇〇ちゃんだ)

だから絶対、彼女の力になりたかった。

ミヤ「……ここにいると、思うんだ。 昔のオレなら勝手に自分を諦めて、ここへ来ることもできなかったかもって」

〇〇「ミヤ……」

オレは、隣にいる〇〇ちゃんに視線を移した。

透き通った瞳が、オレを見つめ返してくれる。

(大げさだって言われるかもしれないけど、キミの笑顔に何度も勇気をもらった)

彼女に出会えていなきゃ、きっと今のオレはない。

(オレは、キミが笑ってくれるならどんなことだってする)

(その気持ちだけは、絶対に誰にも負けない自信があるんだ)

今までのオレだったら、そんな強気なことを言えなかったかもしれない。

(……キミに、この気持ちを受け取ってほしい)

ミヤ「王子として学ばないといけないこともたくさんあるけど、もう最初から譲ったり迷ったりしない。 そう思えるようになったのは、キミと出会って……恋をしたから」

頬に熱が集まってくるのを感じながら、オレは彼女に想いを伝える。

ミヤ「キミを好きだって気持ちが、オレに勇気をくれるんだ」

だから……今、その勇気をありったけ集めてその言葉を紡ぐ。

ミヤ「オレ……決めたんだ。世界で一番、キミを笑顔にできる王子になるって」

彼女は瞳を揺らしながら、無言でオレを見つめている。

(急にこんなこと言って、驚いちゃったよね)

(でも、ずっと思っていたことなんだ)

いつもは笑って誤魔化したりするけど、今はそれをしたくなかった。

(キミに、この気持ちをちゃんと伝えたいから)

ミヤ「本気だよ」

〇〇ちゃんはそれでもしばらくオレを見つめた後、ゆっくりと口を開いた。

〇〇「ありがとう……ミヤ。 ミヤがそう言ってくれて、すごく嬉しい」

(……!)

ミヤ「それは……オレと同じ気持ちって思って、いいんだよね?」

彼女の顔を覗き込んで、オレは念を押すように尋ねてしまう。

〇〇「……うん」

〇〇ちゃんはそう答えてくれるけれど、何かを考えるようにまた黙り込んでしまった。

(困らせてる……?)

(〇〇ちゃんは優しいから……オレ、無理に言わせてないかな)

ミヤ「……〇〇ちゃん?」

不安になって声をかけると、彼女はまっすぐにオレを見つめた。

すると…-。

〇〇「私も、ミヤのことが好き。 だから……私もミヤを一番笑顔にできる人になりたい」

(っ……)

これ以上ないくらいにかわいい笑顔と言葉が、オレの胸を深く打った。

しばらくすると、喜びが一気に込み上げてくる。

ミヤ「キミは、本当に……。 どこまでオレを好きにさせたら、気が済むの?」

格好つけることも忘れるくらい嬉しくて、頬がどうしようもなく緩んでしまう。

(ああ……嬉しいな)

〇〇ちゃんが愛おしくて仕方がない…-。

想いを抑え切れずに、オレは…-。

そっと手を伸ばして、彼女の頬に触れた。

ミヤ「キミがオレを見てくれてる。それだけで、なんでもできそうな気持ちになる。 ……キミは?」

〇〇「もちろん同じ気持ちだよ」

優しい声がすぐに返ってきて、オレの心を震わせる。

ミヤ「じゃあ、二人でいたら怖いものなんてないね」

〇〇「うん。一緒にいれば、きっとどんなことでも乗り越えられると思う」

とびきり可愛い笑顔が、またオレに向けられて……

(〇〇ちゃんのことが、大好き)

この笑顔を見る度に、オレはきっとそう感じるんだろう。

ミヤ「そんな顔……ずるいなぁ」

(ちょっと、ずるいなぁって思っちゃうよ)

(オレばっかり、キミのこと好きみたいで)

考えていることが口からこぼれ、〇〇ちゃんが首を傾げる。

(あ……しまった)

ミヤ「ううん、なんでも…-」

誤魔化そうとするけれど、オレはそこで言葉を飲み込んだ。

(ちゃんと、伝えよう)

(これからも傍にいてほしい。不安になんてさせたくない)

(笑っていてほしい。だから…-)

熱くなる頬を自覚しながらも……

オレは今の想いを正直に紡ぐため、そっと口を開いたのだった…-。

おわり。

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