太陽最終話 未来へ、あなたと一緒に

燃えるような赤い髪が、陽の光の中で鮮やかに色づく。

アヴィ「……」

私の前までやってくると、アヴィは跪き剣を差し出した。

〇〇「!」

アヴィに倣うように、兵士達が一糸乱れぬ動作で跪く。

アヴィ「我らアルストリア騎士団、これより先も、トロイメアの姫と共に。 姫に忠誠を誓い、美しい夢溢れる世界を守り抜くため……この身、この心を尽くします」

よく通る声を響かせた後……彼はゆっくりと顔を上げる。

(これから先も、この世界を……)

(一緒に…-)

アヴィの言葉と力強い眼差しが、胸に押し込めていた私の想いを引き出してしまう。

(……私は、アヴィに笑ってほしいだけじゃない)

(ずっと傍にいて、一緒にこの世界を守っていきたい)

もうわかっていたはずなのに、そのことを決して口にはできなかった。

(アヴィが傷つくのは、今も怖い。でも…-)

一緒にいたい……そしてアヴィも、そう望んでくれている。

そう心が認めてしまえば、気持ちが溢れるのに時間はかからなかった。

〇〇「はい……アヴィ王子と、アルストリアの皆さんの忠義を謹んで受け取ります。 私も、いつまでもその心と共に」

(アヴィと、いつまでも……)

アヴィから受け取った剣の柄にキスを落とし、再び彼の手に返す。

アヴィ「……」

剣を受け取る瞬間、彼は私にだけわかるようにそっと微笑んだ…-。

……

式典を終え、アヴィが兵士さん達から離れて私の元へとやって来た。

先ほどまでの凛々しさを残して、彼はいたずらっぽく笑う。

〇〇「びっくりしちゃった」

アヴィ「戸惑うかと思ったけど、しっかりしてたな」

〇〇「うん……」

耳を澄ませると、人々の笑い声がどこからか絶え間なく聞こえてくる。

心を落ち着かせようと息を吸い込んで、私はアヴィに向き合った。

〇〇「あのね、アヴィ」

アヴィ「ん?」

私に向けられる優しい瞳が嬉しくて……

その気持ちを、今ならはっきりとアヴィに伝えられる。

〇〇「これからも、ずっと傍にいてほしい」

アヴィ「〇〇……」

〇〇「傷つくこともあるかもしれない。大変な目に遭うかもしれない。それでも……。 ずっと、あなたと一緒に夢を見続けたい。 大好きだから。私は、アヴィのことが好き……」

想いを伝えきると、アヴィはいつもそうするように、私の頭に手を乗せた。

アヴィ「……馬鹿。 言われなくたって、そうするつもりだよ。 ……ありがとな」

噛みしめるように囁くと、アヴィは私を抱き上げた。

〇〇「っ……!」

スチル

見つめる距離の近さに、胸が早鐘を打ち始める。

アヴィ「お前、ほんとに強くなったよな。俺も、もっと強くならねえと」

〇〇「アヴィは、もう充分強いと思うけど……」

(いつまでも私は、アヴィに励まされてばかりで……)

〇〇「私は、アヴィと並んで歩きたい。同じくらい強くなりたい。 アヴィが傷つかなくて済むように」

今まで一緒に歩んできた道のりが、私に強くそう思わせた。

アヴィ「そういうお前だからこそだよ」

〇〇「え……?」

陽光を受ける彼の瞳が、これまで以上に強い輝きを放つ。

アヴィ「世界で一番すげえ姫様を守るにはさ。やっぱ俺も世界で一番強くならねえと」

〇〇「それじゃあ……結局追いつけないよ」

ほんの少し不満を込めてつぶやくと、アヴィは面白そうに声を立てて笑った。

アヴィ「そういうところがお前らしいな」

〇〇「え……?」

アヴィ「お前は充分強いよ。ずっと言ってるだろ?」

ふわりと下ろされたかと思うと、頭の後ろに彼の腕が回され……額と額が重なった。

すぐ傍で、彼の青紫色の瞳が私を見つめている。

アヴィ「今、改めて誓わせてくれ。 誰よりも強くなって、そしてお前を守ってみせる。 王子として騎士として、お前が望む道を俺が切り開いてやる」

凛とした声が、胸に熱く沁み渡っていく。

嬉しくてたまらないのに、その一方で少しだけもどかしい思いが生まれてきた。

〇〇「そんなの……私、何もしていないことになるよ。私もアヴィが笑っていられるように頑張るから」

けれど、アヴィはいつもみたいに軽く笑って…-。

アヴィ「いいんだよ。お前はそれで。お前そのものが、俺にとっての光なんだから」

(アヴィ……)

アヴィの頬に手を添えれば、唇の端にキスが落とされた。

アヴィ「けど、そうだな……なら、照らし続けてくれよ。俺のこと。 俺が大好きな、その太陽みたいな笑顔でさ」

それ以上の言葉をキスに変えて、アヴィは私の唇を奪った。

離れては求めるように熱を分かち合い、私は彼とのキスに溺れていく。

(あなたと、どこまでも一緒に……)

抱きしめる腕の強さに、安らぎと心地よさを感じながら……

これからも歩んでいく彼との旅路に、幸せな夢を見るのだった…-。

おわり。

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