太陽7話 言葉では言い表せずに

力強い眼差しが、私を捉えて離さない。

〇〇「私は……」

まとまらない気持ちを口にしようとしているせいか、知らず声が震えていた。

(アヴィはこの世界に来た時から、ずっと傍にいてくれた大切な人で……)

(私をずっと支えてくれた。だから、今度は私が守りたいって思う。でも…-)

抱く想いを言葉にしようとすると、まるで見えない力に止められるかのように上手く紡げない。

思いあぐねていると、アヴィの手が私の頭をそっと撫でた。

アヴィ「悪い。困らせた」

〇〇「アヴィ?」

尋ねるように見上げると、彼はふっと切なげに笑い……

アヴィ「そろそろ戻るか」

話を切り上げて、背を向け歩き出してしまう。

(待って……)

きっと、私のためにそうしてくれたとわかっているのに……

今は、その気遣いがどうしようもなく寂しかった。

〇〇「待って!」

気づけば、私はとっさに彼のマントを掴んでいた。

アヴィ「……〇〇?」

〇〇「ごめん……なんて言っていいかわからないの。 言葉にしようとすると、怖くて……」

アヴィは私へと向き直る。

しっかりと見つめられ、彼がちゃんと聞こうとしてくれていることが伝わってきた。

(そうやって、アヴィはいつも私のことを考えてくれる……)

彼の優しさが、また私の胸の奥を締めつける。

〇〇「アヴィは私のとって大切な存在だよ。ずっと私を支えてくれて……。 だから私もアヴィに笑っていてほしい。 アヴィの笑顔が大好きだから。そのためならなんだってしたい。アヴィのこと、今度は私が守りたい。 けど、それだけじゃない……でも、それを言ったら…-」

(『一緒にいて』と、そう望んだら……)

(アヴィはきっとまた……私を守ろうとして、傷ついてしまう)

言い募る私を、アヴィはそっと抱き寄せた。

アヴィ「ごめん……ありがとう」

頭上から降ってくる言葉が優しくて、胸に顔をうずめて込み上げそうな想いを隠した。

すると彼は、あやすようにゆっくりと私の頭を撫でて…-。

アヴィ「なあ、見に来いよ。観兵式」

〇〇「え……?」

アヴィ「お前に見てほしいんだ」

わずかに手に込められた力から、彼の想いが伝わってくるような気がした…-。

……

そして、観兵式が執り行われる日を迎えた。

式典会場は、多くの人が詰めかけ賑わいに満ちている。

(アヴィ……)

用意された席に座り、アヴィ達の行進を待つ。

やがて、遠くから歓声が聞こえ、私はそちらへと身を乗り出した。

アヴィ「……」

隊列の先頭に立つアヴィの、燃えるような赤い髪が揺れる。

凛々しい姿に思わず息を呑んだ。

その時…-。

アヴィ「トロイメアの姫!」

(え……?)

アヴィの、迷いない視線が私へと注がれる。

揺るがない強さと信念が、その青紫色の瞳に湛えられていた…-。

<<太陽6話||太陽最終話>>