太陽7話 巡る季節、巡る思い

春になったある日、私はベウルさんと彼の城で再会した。

ベウル「会えて嬉しいよ。冬の間、今日のことをずっと楽しみにしていたんだ」

満面の笑みを浮かべて駆け寄ってきたベウルさんが、私の手を取って笑顔を見せる。

○○「私もです」

私とベウルさんは手を取り合いながら、微笑みを交わした。

ベウル「パーティまで、まだ時間があるから少し出かけない?○○ちゃんに、春のアベルディアを見て欲しいんだ」

○○「はい、是非連れて行ってください」

ベウルさんは頷くと、私の手を取ったまま、城下町へと向かった。

城下町は穏やかで明るい雰囲気に包まれていて、至る所に春の芽生えを感じ取れた。

つがいで舞う紋白蝶や、花の匂い、通り過ぎていく風さえも優しい。

(なんだか、それだけですごく幸せな気分……)

私だけでなく、道行く人の誰もが幸せそうな笑顔を浮かべ、春の訪れを祝福しあっている。

冬前に訪れた時は保存食が目立った市場の店頭も、今日並んでいるのは春の野菜や新鮮な魚だった。

○○「市場、前に来た時とは全然違いますね……」

ベウル「ふふ、でしょう?市場が開くまでの間、ずっと保存食を食べて過ごすからね。アベルディアの人は皆、春が訪れると新鮮な食べ物を求めるんだ」

○○「確かに、保存食ばかりじゃ飽きちゃいますもんね」

ベウル「うん。それに……秋頃、慌てて保存食に加工するから、時には不足しちゃって、不自由な思いをさせてしまうことも多かったんだよ。でも、城では今、春や夏に採れた食材で作る保存食について、研究をしてるんだ」

○○「そうなんですか。色々なことに取り組んでいるんですね」

ベウル「おれだけじゃなくて、皆が国をよくしようと思ってくれてるんだ」

そんな話をしながらしばらく歩いていると、豊かな緑に囲まれた施設に辿りついた。

建物の前の広場では、子ども達が楽しげに遊び回っている。

(ここ、学校かな……?)

男の子「あ、ベウル様!!」

ボール遊びをしていた男の子が一人、声を上げながら、こちらに駆け寄ってくる。

(あ!あの子は……)

初めて見た時とは違って健康的な顔色をしているものの、間違いなく、市場で倒れていた男の子だった。

ベウル「やあ、冬眠はちゃんとできた?」

男の子「うん、大丈夫だったよ!」

男の子はしばらく談笑してから、友達の元に戻っていった。

ベウル「ここは国が運営する保護施設なんだ。まだ始めたばかりだからいろいろ問題も多いんだけど、この施設も国自体も、いい方向に変えていけたらって思ってるんだ。春が来て、季節が巡るみたいにさ」

○○「すごく素敵ですね……」

ベウル「ありがとう。アベルディアの頑張ってる姿……こうして、きみに見せられて良かった」

ベウルさんは微笑みを浮かべながら、繋いでいた手にギュッと力を込めた…―。

<<太陽6話||太陽最終話>>