太陽5話 予感

夜会の賑わいは、どこか浮き足立ったような空気を含んでいる。

お腹が空いたというアザリーさんの為に、私は果物を取りに行っていた。

〇〇「アザリー、どうぞ」

座り込んでしまった彼に、私は果物の載ったお皿を差し出す。

そこには、当然のようにカリムさんがいて、アザリーさんの為にふわふわの席をしつらえていた。

アザリー「悪いな」

そう言いながらも、アザリーさんは一向にお皿を受け取ろうとしない。

〇〇「……? あの……」

首を傾げると、カリムさんが私に耳打ちをした。

カリム「アザリー様は、果物の皮を剥かれたことがございません」

〇〇「え」

(剥いてってことだったのか……)

桃のように甘い香りを放つ果物の皮を剥き、アザリーさんに差し出す。

アザリー「?」

アザリーさんは尚もそれを受け取らず、私の瞳を見つめた。

アザリー「アザリー様は、手がベタベタするのがお嫌いです」

(私が食べさせるってこと……?)

(あ、でも、フォークをもらってくれば…-)

思い立って席を立とうとする。

すると、アザリーさんは私の手をそっと掴み、果実を口にした。

〇〇「……っ!」

アザリー「……甘い、美味いな。 それに、喉が渇いていたせいかはわからないが……いつもより特別に感じる。 生き返った」

アザリーさんが、本当に嬉しそうに笑う。

その笑顔を見た瞬間、掴まれた手首がじんわりと熱を持ち始めた…-。

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